Lie of the world. ページ18
それからは4人で暮らす日々だった。
田中さんはこの繁華街を裏で仕切る長みたいで食べ物は十分に手に入れてくれた。
土管の時みたいにゴミの山に突っ込んでいくことはなくなったため、私にとってはよかった。
相変わらず住処はこの路地裏だったけど。
体を温める毛布や身の回りのものは全て田中さんが揃えてくれた。
そんな田中さんのことを私はさん付けなしで呼べなくなっていた。
日向はいつも明るく私に話しかけてくれた。
きゃんきゃん吠え回る子犬のようにずっと1人で話し続けていた。
でもこの世界で何もすることのない私にとってそれはいい暇つぶしになった。
そして影山は...
「あれ、今日も影山いないの?」
朝起きて眠い目を擦りながら日向に聞く。
「影山今日も出かけたよー最近忙しそうだよねえ」
日向はアホ毛をたてながら欠伸をした。
日向に教えて貰って初めて知ったのだが、影山は元人間ということもあったため、その才能が評価され今では猫種族の長なのだそう。
「この世界では元人間の人外は知恵がある分大きな評価をえられるんだよ!」
日向はそう自慢げに話してくれた。
だから田中さん
確かにあの化け狐も元人間だからか偉いポジションにいる気がする。
「ただ人外になったらの話だけどね...今のAみたいにただの人間だとバッシングを浴びるんだあ」
「日向もそうだったの?」
「俺もそうだし、影山も田中さんも。それはそれは扱いがひどかったよーまあ男だったったからっていうのもあるけど」
日向は少し懐かしみながら答えた。
「ねえじゃあ日向も何かの長だったりするの?」
「いやー俺はそういうの苦手だからこうやって田中さんの後ろに隠れて静かな生活を送ってるんだあ」
日向は恥ずかしそうに頭を掻きながら答えた。
確かに日向は話す言葉も聡明で長に相応しい器には見える。
でも前に出ないという選択もあるんだなあ...
私はそんなことを学んだ。
「ただ俺自身は人外になることはオススメしないよ」
日向はそうきっぱり言った。
「Aー今日はどの話聞きたい?!」
目を輝かせて言う日向。
でも...
「日向、私街に出たいんだけど。」
それは私の決意表明だった。
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犲(プロフ) - Mさん» ありがとうございます。これからも更新頑張っていきたいと思います。 (2018年3月21日 9時) (レス) id: 1dd88e6f43 (このIDを非表示/違反報告)
M - 今までで1番面白い小説です!更新待ってます!! (2016年4月10日 22時) (レス) id: 59c2f67ea7 (このIDを非表示/違反報告)
犲(プロフ) - ふみん小5だお★さん» ありがとうございます。かっこよく書けてたなら幸いです…コメ、感謝です。 (2015年2月15日 16時) (レス) id: a874ec453e (このIDを非表示/違反報告)
ふみん小5だお★ - 飛雄かっこいい! (2015年2月15日 7時) (レス) id: 0e55fcced6 (このIDを非表示/違反報告)
犲(プロフ) - 紫都さん» ありがとうございます、そう言ってもらえて光栄です。 これからも精一杯頑張ります。 (2015年2月12日 15時) (レス) id: a874ec453e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:犲 | 作成日時:2015年1月14日 22時