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それからはなんとも気まずい雰囲気だけが流れた。
皐月といてこんなに苦しい時間は初めてで。
この話は終わりって切りたい気持ちは山々だけど皐月はそんな明るく言って通じるような顔はしていない。
私はどうしようかと頭を悩ませていると...
「A、皐月!遅くなって、悪いーさびしかったろ?」
なんて空気を切って屋上に来たのは新太。
救世主が舞い降りたかのように私の気持ちは軽くなった。
...が。
「僕たちもう食べ終わったから教室戻るよ。A、行こ?」
ぐいっと皐月が私の腕を引っ張る。
「え?でも新太せっかく来てくれたし...」
その手をなんとか振りほどこうとしても...無理だった。
その力は私が抵抗できるような力ではなかったから。
私たちが無言の攻防をしていると
「ああ、そうかーじゃあ2人とも先行ってろよ、俺ここで食べてから行くわ!」
と明るくにかっと笑う新太。
「だって。ほら、早くA」
私に有無を言わさず皐月はあっという間に屋上を出てしまった。
階段を少し下ったところで私は言った。
「皐月!なんで新太を1人にするようなこと...」
「なんで?って...」
皐月は丸い瞳で私のことをじっと見つめると
「どうせ僕の気持ちにAが答えてくれる気がないんだったらもういいかなあって」
「はあ?何が...」
「.....Aを振り向かせるためだったら嫌われてもいいかなあって」
そう言った時の皐月の目は氷のように冷たかった。
「何を...言ってるの?」
「だってさAどう見ても新太のこと好きじゃん。そんなAと新太を一緒にしとく時間作ったらもっとAが新太に惹かれちゃう」
1人で喋り続ける皐月。
それはまるで自分の行動を正当化しようと言い聞かせてるみたいで...
「A、僕は本気なんだよ...??」
私は握りしめてくる皐月の手が怖くて何も言えずただずっと首だけを振り続けていた。
「A、そんなに怖がらなくてもいいのに。」
そう言い皐月はいつものように微笑んで
「僕はずっとAの可愛い弟でしょ?」
そこにはもう私の皐月はいなかった。
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晴れの空(プロフ) - 空百合さん» コメントありがとうございます...!!こうしてコメ残してくれることがほんとに嬉しいです...わかりました!更新頑張りますね...!ほぼ休止状態が激しいですが応援してくれると嬉しいです! (2018年9月23日 17時) (レス) id: ba85e0c2c1 (このIDを非表示/違反報告)
空百合(プロフ) - なんてコメントすればいいのかわからないんですけど……続きがすごく気になります!特に、20番のお話は好きです。やめないでくださるとうれしいです……! (2018年9月19日 2時) (レス) id: b07a96ee40 (このIDを非表示/違反報告)
晴れの空(プロフ) - arさん» 完結させられるように頑張ります!新しい作品も作りますのでぜひリクとかもしあれば気兼ねなく言ってください...!!本当にありがとうございます!! (2018年9月5日 0時) (レス) id: ba85e0c2c1 (このIDを非表示/違反報告)
晴れの空(プロフ) - arさん» ありがとうございます...!!今すごく泣きそうです...もう私の作品なんて楽しみにしてくれる人はいないのかもしれないってすごく思ってたのでこんな温かいコメント頂けて嬉しいです... (2018年9月5日 0時) (レス) id: ba85e0c2c1 (このIDを非表示/違反報告)
ar - 初めてコメントさせて頂きます。今回の作品で初めて晴れの空さんの書かれている作品を拝見させて頂きましたが、更新を毎日楽しみに待っております!今回も完結まで読ませて頂きたいですし、今後も他の作品が是非見たいです! (2018年9月4日 21時) (レス) id: 3a674cfdde (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:晴れの空 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ika/
作成日時:2018年3月17日 20時