独占王子。４[名前変換オリジナル]

●１４５話● ページ7

美「…何のことかしら？」



美和子さんは平然と私を見据えていた。




A「美和子さんは、おかしいです。」




美「…へぇ？」





和瑳「笹塚さん？少し落ち着いて＿＿＿＿」




そんな和瑳の声はもう私には届かない。




A「使えないってわかったらすぐに捨てるなんて。
そんなの自己中心的過ぎませんか？！人の心も…知らないで…！」




そう。美和子さんはいつもそうなんだ。





長男しかいらない、と和瑳と由宇を養子に出そうとした時も。




自分が悪いのにはむかった城崎さんをクビにした時も。





必死に自分の気持ちに答えようと頑張ってきた翔を、




捨てようとしている…この時も。





A「美和子さんお言葉ですが貴方は…人間、失格ですよ。」




初めて、三人の王子達に会った時に言った言葉。




今、この言葉が必要な人は…目の前の、この人だ＿＿＿＿＿＿





美「人間失格ですって…？っ、庶民の高校生が調子に＿＿＿＿」









「もうやめましょうよ。美和子様。」









部屋に響く、もう一人の声の主。





A「城崎…さん…っ」





城「A。よく頑張った。礼を言うぞ。」





城崎さんはそう言うと美和子さんの前へ向かった。




美和子さんの顔は蒼白だった。





美「な、なんで…貴方が…」





和瑳「城崎さん…」




和瑳も言葉を失くしていた。




城「もう十分でしょう？人を不幸のまき沿いにするのは。」





不幸の、まき沿い？





美「黙って……私から離れて頂戴っ！」




バシッと美和子さんは近づいてくる城崎さんの腕を払うが。





城「美和子様！」





次の瞬間にはもう、城崎さんの手は…




しっかりと細く白い、美和子さんの腕をつかんでいた。

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