独占王子。４[名前変換オリジナル]

●１５９話● ページ21

翔「俺、今めっちゃキレてるんだけど。」



A「そうですよね…」




翔「あぁ？お前のせいだろうが！」




着いたときにはもう翔の堪忍袋の緒はぶちぎれていた。




私はうつむいて怒られていたが…





いきなり翔の怒気が消えた。





なんでだろうと思って顔を上げると…









翔「お前のその格好に免じて許す。
その服を着てきたのが運のツキだったな。」







翔はそう言うと恥ずかしそうに顔をそらした。





…それは遠まわしに可愛いって言ってくれてるんだろうか。





A「ありがとう…」




妙に照れくさくて、本当に嬉しかった。









いつものバカでかい車に私は乗り込んだ。



運転手はいつも通り青崎さんだった。



A「…何この荷物の量？」




翔「日用品と電化製品…と私物だな。」





A「なんで電化製品？！おかしいでしょ！」




翔「は？当然の荷物だろ？
それに今日のために新調したやつだしな。」





……私、やっぱりお金持ちの感覚はわかる気がしない。





そうしてつっこんだりしている内に景色はどんどん流れていった。





気がついた時には




青「着きましたよ。」





A「え…もうですか？！」




青崎さんに私はついそう問い返してしまった。





翔「ああ。ここだぜ。父さんが言ってたし。」





翔はそう言いながら青崎さんに荷物を運ぶ指示を出した。





青崎さんは軽く頭を下げると急いで荷物をおろした。





A「翔、ここには来たことないの？」





翔「あるわけないだろ。家なんて本家だけで十分だ。」




翔はそう言うと門を開けに向かった。




A「それにしてもすごい…」




私はそうつぶやきながら辺りを見渡した。




どこかのおとぎ話に出てきそうな静かな緑が生い茂った、




自然溢れる森の中に翔専用だという屋敷はあった。

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