空と海のあいだに【hirano.s】

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その日、海人がぐっすり寝付いたあと、


私は次の日が休日ということもあって、久々に夜更かしをしていた。






普段はあまり飲まないお酒も飲んだりして。

一人リビングで寛いでいた。









と、家の前に車が停まる音がした。






こんな時間に…誰？



不安になり、そっとカーテンの隙間から覗いて、外を見る。






その車を認めた私は、息をのんだ。





怒りにも似た感情が湧きあがる。



今さら何…？！









玄関のチャイムが控えめに鳴っても、私は出なかった。









何度鳴っても我慢した。









でも


あのハスキーな、私の好きな声で




「A…？開けて…？」


と聞こえた時、









もう我慢も、自分を偽ることも









できなかった。









A「…紫耀先生…！」

私が会いたくてたまらなかったその人が

目の前にいる。









平「もう先生じゃないよ。」



「…ただいま、A。」




「ごめんね、俺、待たせちゃったね。」







そう言ってあの人は、私を力一杯抱きしめた。









何も言わずに、目の前の愛しい人は


これまでの時間を埋めるように


何度も何度も、私に口付けた。









と、紫耀先生が私をひょい、と軽々抱き上げた。




平「ごめん…。俺もう、我慢できない…。」








そのままリビングのソファーに下ろされる。


紫耀先生は、私の顔の横に手をつき、私を見下ろした。




その目付きにクラクラする。







A「紫耀先生…。会いたかったんだよ！ずっとずっと会いたかったのに…！」




平「ごめんな。」

紫耀先生が私の涙に口付ける。






平「A。」






「先生、やなくて」









「紫耀って呼んでや。」









紫耀の厚い胸板に抱きすくめられ、私はうっとりと目を閉じた。





紫耀の指が、唇が触れたところが熱く疼く。





自分の声がまるで、自分じゃないみたいだ。









規則的な律動音と、









紫耀の、ため息にも似た


「も…あかん…！」



声を聞いて私は、









頭が真っ白になり、何も分からなくなった。

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