4 ページ4
彼がいなくなってしまってからというもの、
私に朝は来なかった。
正確には、朝も夜もなく、意識がある時は泣いてばかりいた。
あの頃で、きっと一生分の涙を流してしまったに違いない。
それくらい私は泣き通しだった。
海人の成長を楽しみにしていた彼。
一緒に喜びを分かち合えると思っていたのに。
ずっと一緒だと、約束したのに。
こんなに苦しい思いをするなら、いっそのこと死んでしまおうか、と何度も考えた。
でも、私がそう思うたびに、海人は泣いた。
お腹はいっぱいのはずなのに。
おむつも替えたばかりなのに。
すやすや眠っているのに。
まるで、「僕がいるよ」と私に告げているみたいだった。
そうだ、私には海人がいる…!
彼のためにも、海人を一人前に育てよう。
そう決意した私は、その日から生活を変えた。
働く場所を探し、保育園を探し、
時間が許す限り、海人と遊んだ。
そんな時、知人の紹介で、今の会社にアルバイトとして採用された。
通常の業務ではなく、雑用をするアルバイトだったが、ありがたく、私は一生懸命働いた。
働き出してすぐ、突然声を掛けられた。
声を掛けて来たのは、侑子さんだった。
侑「あなた、履歴書を見ると、デザインの勉強をしていたとなってるけど、どう?今度の社内コンペ応募してみない?」
A「いや、でも私はただのアルバイトなので…。」
侑「大丈夫。取引先のデザインじゃなくて、自社のデザインだから。新人の子達も練習で提出するの。」
A「でも…」
躊躇う私に侑子さんは微笑みながら言った。
侑「私ね、あなたの仕事ぶりをずっと見ていたの。いつも素直でてきぱきしていて。どんな人にもきちんと挨拶する。とても素敵な子だと思ったのよ。」
「だから、一緒に働いてみたい、私が育ててみたいと思ったの。」
私は、見ていてくれた人がいるということに驚き、同時に嬉しくなった。
そして、コンペに作品を提出することを
決心した。
675人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
きっちょむ(プロフ) - 碧さん» 碧さん、ありがとうございます!始めから岸君サブで、ちょこっとだけのつもりだったのが、予想外にいい子過ぎて一瞬岸君とハッピーエンドにしようかと思ったくらいです(笑)また応援よろしくお願いします!コメント嬉しいです♪ (2019年12月15日 23時) (レス) id: 1ef3c32ee2 (このIDを非表示/違反報告)
碧 - 良かったです!紫耀君カッコいいし、海ちゃん達は可愛いし…私、よく岸くんメインの小説読むんですけど、サブ?もいいなぁって思いました!おまけもホッコリして…ありがとうございました! (2019年12月15日 23時) (レス) id: 4ed223f98b (このIDを非表示/違反報告)
atu66mi67yu129(プロフ) - まってます。楽しみにしてます (2019年11月6日 22時) (レス) id: c65eb063a4 (このIDを非表示/違反報告)
きっちょむ(プロフ) - atu66mi67yu129さん、ありがとうございます!私も書いていて楽しかったので、そう言っていただけると嬉しいです★おまけ更新した時にちょっと続編書きたいなぁと思ったので、どっかのタイミングで書きたいと思います! (2019年11月6日 22時) (レス) id: 1ef3c32ee2 (このIDを非表示/違反報告)
atu66mi67yu129(プロフ) - 楽しい話だったので更新が待ち遠しかったです。ぜひとも続編お願いします。 (2019年11月6日 21時) (レス) id: c65eb063a4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:きっちょむ | 作成日時:2019年10月26日 16時