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あれから、岸さんからは何も連絡がなく、毎日が過ぎていく。
ほっとする反面、きちんとできていない事にモヤモヤが募る。
紫耀先生とも…あれっきりだ。
海人のお迎えの時も、顔を合わせるタイミングがなかった。
このまま二人と会わないでフェードアウトしていったら、以前のような気持ちに戻るんじゃないか。
そんな風に思っていた。
そう思っていた矢先、海人の保育園から会社に連絡が入った。
「お母さん、海人君、熱が出てしまって…。お迎えをお願いできますか?」
A「わ、分かりました!」
急いで侑子さんに報告に行く。
侑「大丈夫?心配ね。早く行ってあげて。」
「体調が整うまで、仕事の事は心配しなくていいからね。海人君のそばにいてあげて。」
A「はい、ありがとうございます!」
急いで保育園に向かうと、そこにはベッドに寝る海人の傍らに
紫耀先生がいた。
A「…海人のお迎えに来ました…。」
速まる鼓動を抑えて、声を掛ける。
顔を上げた紫耀先生は、『園の平野先生』の顔だった。
平「ご苦労様です。ずっと元気だったんですが、給食の食べが悪いので熱を測ってみたら、発熱していたと、担任より伝言を預かりました。」
拍子抜けして、私は答えた。
A「あ、ありがとうございます。それでは海人を連れて帰ります。」
平「分かりました。でも、海人君のお母さん、」
近づいてきた紫耀先生は、この前、私の手を引っ張った時の顔に変わっていた。
私にしか聞こえないくらいの小さな声で、
平「海人こんなに熱あって、どうやって帰るん?しんどいやろ。」
A「タクシーを呼びます!」
平「俺が送るから、乗って。じゃないと」
「心配で、…ここから帰せへん。」
じっと熱い目で見られ、あんなに固くした決意は
脆く崩れさってしまった。
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きっちょむ(プロフ) - 碧さん» 碧さん、ありがとうございます!始めから岸君サブで、ちょこっとだけのつもりだったのが、予想外にいい子過ぎて一瞬岸君とハッピーエンドにしようかと思ったくらいです(笑)また応援よろしくお願いします!コメント嬉しいです♪ (2019年12月15日 23時) (レス) id: 1ef3c32ee2 (このIDを非表示/違反報告)
碧 - 良かったです!紫耀君カッコいいし、海ちゃん達は可愛いし…私、よく岸くんメインの小説読むんですけど、サブ?もいいなぁって思いました!おまけもホッコリして…ありがとうございました! (2019年12月15日 23時) (レス) id: 4ed223f98b (このIDを非表示/違反報告)
atu66mi67yu129(プロフ) - まってます。楽しみにしてます (2019年11月6日 22時) (レス) id: c65eb063a4 (このIDを非表示/違反報告)
きっちょむ(プロフ) - atu66mi67yu129さん、ありがとうございます!私も書いていて楽しかったので、そう言っていただけると嬉しいです★おまけ更新した時にちょっと続編書きたいなぁと思ったので、どっかのタイミングで書きたいと思います! (2019年11月6日 22時) (レス) id: 1ef3c32ee2 (このIDを非表示/違反報告)
atu66mi67yu129(プロフ) - 楽しい話だったので更新が待ち遠しかったです。ぜひとも続編お願いします。 (2019年11月6日 21時) (レス) id: c65eb063a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きっちょむ | 作成日時:2019年10月26日 16時