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「いつものお店」って言うから、てっきり学生御用達の、安い居酒屋チェーンだと思ってた。
もらった地図を頼りにたどり着いたそこは、とてもお洒落なダイナーだった。
A「ここだよね…？間違えてないよね？」
１人心細くなり、入るのに気後れする。
「何突っ立ってんだよ、入って待ってればいいのに(笑)」
A「大昇…！良かった〜」
後ろから大昇の声が聞こえて、ちょっとほっとした。
A「こんな素敵なお店でいつも集まってるの？よく知ってるねぇ。」
感心したように言う私を見て、大昇が笑う。
大「ここさ…」
大昇が言いかけたところで、お店のドアが開き、中から人が出てきた。
ドアの目の前に立っていた私は、ぶつかりそうになった。
A「す、すみません！」
私の言葉と同時に、大昇が私を引っ張って避けてくれた。
A「ありがとう、大昇。」
大昇は、いいっていいって、と言いながら、私の手を握ったままお店に入って行く。
A「ちょっと、もう大丈夫だから！」
ちょうどお店の人が、さっきのお客さんを見送って出ていた。
大昇に気付き、声を掛ける。
「おお、大昇。藤井ちゃん、もういるよ〜」
大「あ、ガリさん。あんがと。」
ガリさんと呼ばれたお兄さんは、私と大昇の繋いだ手をじっと見て言う。
猪「…彼女？」
大「そーなんだよ！よく分かったじゃん」
そのまま２人は、ウェーイとかってハイタッチしていた。
A「ちょっと！違うから！」
「こんにちはー」
騒ぐ私達の後ろから声がした。
A「那須くん…」
那「何やってんの？入口で(笑)」
遥香ちゃんと一緒に現れた那須くんは、爽やかに言う。
猪「お？那須も彼女か？みんな大学入って急に彼女とかさ…
いいよなー」
那「(笑)ガリさん、もうみんないる？」
猪「奥の個室ー」
お兄さんが前に立って案内してくれる。
その頃にはもう、大昇は手を離してくれていた。
那須くんに見られちゃったかなぁ、と、ちょっと気落ちしたと同時に
お店の入口で、繋いだ手をパッと離した那須くんと遥香ちゃんが見えて
切ない気持ちで一杯になってしまった。
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作者名：きっちょむ | 作成日時：2024年1月9日 5時
