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午後の講義が休講になり、何となく図書館で本を借りて、学食でコーヒーを飲みながらページをめくる。

地味な時間だけど、私はこの時間が結構好きだ。
例え周りがざわざわしていたとしても、落ち着くんだよね…


「ここ、いい?」

突然声を掛けられて、びっくりしてはっと顔を上げる。

A「え?那須くん?」

呼ばれた張本人は、何だよ大きい声出してー、座るぞーなんて
屈託なく笑う。

那「A空きコマなの?」
A「そうなんだよね。たまたま休講になっちゃって」

那須くんは、ふーんと言いながら、私が借りた本をパラパラめくる。

那「A、本好きだよね」
A「えっ?何で知ってるの?」

私の言葉に、那須くんは怪訝な顔をして言う。

那「だってよくここで本読んでるじゃん」
A「確かにそうだけど…」

まさか那須くんに見られていると思わなくて、ドキドキする。

那「俺もさ、本好きでよく読むんだけど、Aはどんなジャンルが好き?」

A「那須くん、脚本書くから、やっぱりそうやってちゃんと読んでるんだね。私は今は時代小説が好きかなぁ」
那「渋いね笑 でも時代小説っておもしろいんだよな。
あれ、読んだ?」
A「え!新作出てるんだ!読みたい!」
那「俺、買ったから貸してやるよ。次の活動日に持ってくる」
A「いいの?ありがとう!」



那須くんと一緒に活動するようになって数ヶ月経つけど、初めてこんなに打ち解けて話した気がする。

那須くんて、笑うとかわいいんだな、と気がついた。


那「…そんなに見られると、緊張するんだけど…」

パラパラと本をめくる那須くんを、いつの間にか凝視していたらしい。

A「ご、ごめん!ぼーっとしてた…」

慌てて言うと、那須くんは私をじっと見て
「そんなに俺のこと見るなんてさ、Aさんて俺のこと、好きなんじゃない?」
と言った。


突然の展開に動揺して、言葉が出てこない。


と、那須くんがくしゃっと笑って

那「あー、浮所の真似して言ってみたけど、すげー恥ずかしいわ。あいつよくまともにこんな事言えるよな」
なんて言う。

なんだ、そういうことか…と思ったものの、ドキドキしていた私は赤い顔で固く笑うことしかできなかった。


そんな私の動揺に気付いた様子もなく、那須くんは
「そろそろ次の講義行くわ。」
と立ち上がり、去り際に


「本、持ってくるから」
と、私の頭をぽんぽんして、行ってしまった。

残された私は顔を赤くして俯くしかなかった。

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作者名:きっちょむ | 作成日時:2024年1月9日 5時

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