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浮「はい、Aちゃん」
浮所くんが私に、カフェラテを渡してくれた。
A「ありがとう…」
浮所くんがくれたカフェラテは、とても温かくて
少しだけ甘くて
外は相変わらず暑いし、私はコーヒーはブラック派なんだけど
なぜか今は、これが心地好かった。
カフェラテに口をつけようとして、ふと前を見ると
目の前にいる浮所くんがすごく優しい眼差しで私を見ているのが見えた。
急に恥ずかしくなった私は、目線をずらしてカップに口をつける。
A「浮所くん…何も聞かないの…?」
そういえば浮所くんは黙ったままだな、と思い出し、目を伏せたまま聞く。
浮「聞く?何を?」
私は呆気にとられて浮所くんを見るけど
当の本人は本当に分からない、という顔をしていた。
A「いきなり泣いたりして…ごめんね」
浮「ああ!その事?」
「もちろん、何でかなーって聞きたい気持ちはあるけど、それよりもAちゃんが泣き止んでくれた事の方が良かったから聞かない」
びっくりしたよーと、浮所くんは屈託なく笑う。
浮「ね、Aちゃん」
A「ん?」
浮「変な事言うけど…許してね」
A「え?う、うん…」
浮「泣いてるAちゃんも、可愛かったなあ…」
A「は?!」
浮「だからさ、泣き顔は、俺以外の男に見せたらダメだよ」
A「……。」
浮「Aちゃんが泣いてる時は、俺がどこにいてもすぐ駆けつけるからさ」
「泣きそうになったらすぐに連絡してね」
「那須じゃなくて、藤井くんでもなくて、龍我も大昇もダメだよ。浮所に連絡だよ」
分かった?なんてウインクしながら笑う浮所くん。
何だか今日は、浮所くんがすごくカッコ良く思える。
A「…ありがと…」
私の声はすごくすごく小さかったけど
浮所くんはちゃんと拾ってくれた。
水着も買って、手を振って別れたあとも
浮所くんの赤くなった顔を思い出して、思わず笑みが零れる。
いつになく明るい気持ちで帰宅した私は
優くんのスニーカーがうちの玄関にあるのが分かっても
リビングで両親とお姉ちゃんと談笑する優くんを見ても
いつもより平気に感じて不思議だ。
逆に優くんの方が、いつもより口数が少なく
時折私をじっと見ているような感じがして
戸惑った私は、早々に自分の部屋に戻ってしまった。
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きっちょむ(プロフ) - おれんじ がーるさん» ありがとうございます!!やっと完結です。。。またどこかのタイミングで番外編など書けたらなーと思ってます♪ (2020年8月15日 16時) (レス) id: 1ef3c32ee2 (このIDを非表示/違反報告)
おれんじ がーる(プロフ) - わーーー!!!!完結おめでとうございます(^_^)私こそ読むのがとても楽しかったです♪ (2020年8月15日 16時) (レス) id: 10e6bf4b2e (このIDを非表示/違反報告)
きっちょむ(プロフ) - おれんじ がーるさん» ありがとうございます!ちょっと今回は切なくなってしまいました。。。ぜひ浮所くんの応援よろしくお願いします♪ (2020年8月2日 21時) (レス) id: 1ef3c32ee2 (このIDを非表示/違反報告)
おれんじ がーる(プロフ) - うわぁ…(泣)今回はとても切ないですね… (2020年8月2日 21時) (レス) id: 10e6bf4b2e (このIDを非表示/違反報告)
おれんじ がーる(プロフ) - 読ませて頂きました!! もどかしいですね^o^ いつもお疲れ様です!♪ (2020年7月26日 10時) (レス) id: 10e6bf4b2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きっちょむ | 作成日時:2020年5月30日 16時