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目が覚めた時にはもう日が昇っていて、



私の目の前には、心配そうに覗き込む姉の顔。




浮所くんの姿はなかった。






A「えっ…お、お帰り…」


姉「A、突然ごめんね。大丈夫だった?」





いつもと同じ姉の声に、昨日の一時は夢だったのかと思った。







部屋を見回した私は


キャンドルを灯した跡と、甘い残り香を認めて





ああ、夢じゃなかった、とだけ思った。






…夢だとしたらすごく哀しい夢だ。



だって、そのくらい浮所くんの『ありがとう』は


哀しかった。









もう今日は何もする気が起きなくて

結局部活も休んでしまった。









次の日の朝、重い気持ちで制服に袖を通す。




今日どんな顔をして、浮所くんと大昇に会えばいいだろう?



放課後、いつもあんなにやる気だった部活に向かう足取りが重い。









ふと、部室の前に誰か立っているのが見えた。


…大昇だ。







私は顔を伏せたまま、小さな声で挨拶だけして通り過ぎようとしたけど



大昇はそれを許してはくれなかった。






ガシッと腕を掴まれる。



大「ね、何で昨日部活来なかったの?」


A「それは…」



何て返していいか分からなくて言い淀む。





大昇は私の顔に、自分の顔を寄せ、囁いた。


大「…俺の言葉のせい?それとも」



「…浮所と何かあった…?」




思わずバッと大昇の方を見ると、大昇の顔が思いの外近くにあって、私は驚いた。



そんな私の様子にも怯まず、大昇は続ける。





大「よく分からないけど、今日浮所休んでるんだよね。…熱が出たらしくて」


A「…。」





大「…一昨日、雨だったから。こんな季節に風邪をひくぐらい、何で濡れたんだろうね」




黙る私に、大昇がメモを渡す。





A「何…?」



大「俺さ、先輩に、来期の部長指名されてさ。」


「副部長は俺が指名できるから、Aを指名しようかと思って」



A「え…?」




大「だから、未来の副部長として任せるわ。」



「部員の体調確認、してきて」








メモには、浮所くんの家の住所。




大「メモ、落とすなよ」





大昇はいつものように、薄く笑った。

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きっちょむ(プロフ) - おれんじ がーるさん» ありがとうございます!!やっと完結です。。。またどこかのタイミングで番外編など書けたらなーと思ってます♪ (2020年8月15日 16時) (レス) id: 1ef3c32ee2 (このIDを非表示/違反報告)
おれんじ がーる(プロフ) - わーーー!!!!完結おめでとうございます(^_^)私こそ読むのがとても楽しかったです♪ (2020年8月15日 16時) (レス) id: 10e6bf4b2e (このIDを非表示/違反報告)
きっちょむ(プロフ) - おれんじ がーるさん» ありがとうございます!ちょっと今回は切なくなってしまいました。。。ぜひ浮所くんの応援よろしくお願いします♪ (2020年8月2日 21時) (レス) id: 1ef3c32ee2 (このIDを非表示/違反報告)
おれんじ がーる(プロフ) - うわぁ…(泣)今回はとても切ないですね… (2020年8月2日 21時) (レス) id: 10e6bf4b2e (このIDを非表示/違反報告)
おれんじ がーる(プロフ) - 読ませて頂きました!! もどかしいですね^o^ いつもお疲れ様です!♪ (2020年7月26日 10時) (レス) id: 10e6bf4b2e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きっちょむ | 作成日時:2020年5月30日 16時

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