Over-flow【hidaka.u】

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浮「Aちゃーん！おーい！」



集合場所に近付いた私に、浮所くんがブンブンと音が聞こえそうなくらい手を振る。





A「おはよー。いよいよだね」

声を掛けながら浮所くん達の所に行くと




浮「Aちゃん、来てくれてありがとう。」

浮所くんが嬉しそうに言って


大「ありがとうも何も。来るだろうよ、合宿なんだから」

大昇が呆れたように返す。




見慣れたやり取りになんだかほっとして、笑いながらバスに乗り込む。






金「僕、A先輩のとーなりっ」

金指くんが私の隣に勢い良く座る。



その後ろでは浮所くんが大きく口を開けて、ガーンと音が聞こえそうな顔をしていた。



大「浮所、俺らは仲良く座ろうぜ(笑)」



みんなの色んな気持ちを乗せて、バスは走り出す。









合宿所に到着するとすぐ水着に着替えて練習開始だ。




何も考えずに水泳に没頭できるのは、体は疲れるけど頭は空っぽになって、気持ち良かった。









ハードな練習メニューをガンガンこなした後、みんなはバテていたせいか、割と早く宿舎に戻って行った。




私は仰向けで水面にぷかぷか浮かんだまま、練習で火照った体を落ち着ける。








浮「Aちゃん」


プールサイドから、浮所くんの笑顔が私を覗き込む。






浮「着替えて集合だよ。今日の夕飯当番2年じゃなかったっけ？」



私は慌てて、プールの床に足を着く。




A「ごめん、すぐ行くね」


浮「先に戻ってるよー」



笑顔で戻って行く浮所くんを見送る。









良かった、『一緒に行こう』って言われなくて。









浮所くんが私を覗き込んできた時、朝の優くんがフラッシュバックして








ちょっとだけ胸が苦しくなってしまったから。

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