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あれから、蒼弥とは会えないままだった。
アパートには戻って来なかったから、私は諦めて
自分のアパートに戻るしかなかった。
今まで、『諦める』事は数多くしてきて、慣れっこだったはず。
仕方ないや、って思えば執着もなかった。
でも蒼弥の事だけはどうしても諦める事ができなかった。
最後に一目だけ見られるだけでも、と思ってお店に行き、近くからそっと覗いたけど
何故か蒼弥の姿はなかった。
一体どうしたんだろう…。
心配になって、地元に帰る日まで毎日見に行った。
地元に帰る前日、その日も蒼弥を見る事ができずに、肩を落として帰ろうとした私の前に立ったのは
麗華ちゃんだった。
麗「ねえ、あなたさ、蒼弥に何か言った？」
突然言われて面食らう。
A「何かって…。蒼弥に何かあったの…？」
おそるおそる聞いた私に、麗華ちゃんは目を見開いた。
麗「知らないの？！」
「…蒼弥、もうお店、辞めちゃったよ…」
その瞬間、私は走り出した。
後ろで麗華ちゃんが「待って！」と言っていたけど
今はとにかく蒼弥に会わないといけないと思った。
蒼弥のアパートに着く。
何度もチャイムを鳴らすけど、中からは物音一つ、聞こえなかった。
あまりの静けさにイヤな予感がして、ドアノブにそっと手を掛けると
それは、簡単に開いてしまった。
中はがらんとしていた。
物が何一つなくなっていた。
蒼弥の面影をどこにも認める事ができなくて
私は、その場によろよろと座り込んだ。
俯いた私の目に飛び込んできた、私の名前。
飾り気のない白い封筒に書かれていたのは、紛れもなく私の名前で
差出人の名前はなかったけど、間違いなく蒼弥だった。
震える手で封を切る。
『ごめん、A』
『傷付けてごめん』
『ただ俺は、Aの事、本当に』
『好きなんだよ』
蒼弥がどこに行ってしまったのか
今、何をしているのか
全く分からない。
でも、たった4行に、蒼弥の全てが詰まっていた。
蒼弥は私に詳しくは語らなかった。
私は蒼弥にウソをついた。
でも、相手を想う気持ちだけは
二人とも、紛れもなく本物だった。
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きっちょむ(プロフ) - めろんぱんさん» めろんぱんさん、いつも励ましのコメント、ありがとうございます！本当に嬉しいです♪次も楽しんで書きながら、めろんぱんさんに楽しんでもらえる作品、考えますね！応援、ありがとうございました♪ (2020年5月19日 23時) (
レス) id: 1ef3c32ee2 (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - きっちょむさんの作品大好きなのでまた作品楽しみにしてます(^^) (2020年5月19日 23時) (レス) id: 3589a32c79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きっちょむ | 作成日時：2020年5月2日 12時
