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コンテスト当日、私は蒼弥にもらったペパーミントグリーンのワンピースに袖を通した。
衣装はこれではないけれど
コンテストが終わった後の事を思うと、このワンピースしかないような気がした。
ちゃんと言おう。
大学生じゃない事も。
婚約者がいる事も。
…それから、あと1週間で結納だという事も。
鏡に映る私は、青ざめているように見えた。
朝、迎えに来てくれた蒼弥の車に乗り込む私を、蒼弥はぽかんとした顔で見ていた。
A「おはよう。…どうしたの？」
猪「…それだ…」
A「え…？何？」
猪「それだー！A、やったぜ！」
大きな声で笑う蒼弥を、私は不思議な顔で見る。
意気揚々と、車は走り出した。
私達が到着した時には会場はもうすでに、熱気に包まれていた。
かなり気合いが入っている蒼弥は、着替えに向かおうとした私を止め
「今日はそのままで」
と言った。
A「…え、だって衣装これじゃない…！」
言い掛けた私に蒼弥は笑い掛ける。
猪「それを着てるAが、今までで一番綺麗だからだよ」
「さ、行くぞ」
私の手を引いて、蒼弥はステージに向かった。
コンテストがスタートし、緊張感が私を襲う。
実際は蒼弥の方が何百倍も緊張するんだろうけど私のせいで失敗する事がありませんように…！と、それだけずっと思っていた。
私の表情が知らず知らずのうちに固くなっていたのだろう。
その度に蒼弥が私に顔を寄せて
「大丈夫大丈夫」「いつものお前でいける」
「この会場中で一番、お前を輝かせてやるから」
そう言ってくれた。
あちこちで瞬くカメラのフラッシュと
たくさんの人の視線に
つい俯きがちになってしまっていた私も
蒼弥が囁いてくれると不思議と落ち着き、前を向く事ができた。
猪「…おし！」
蒼弥の渾身の呟きを聞いて鏡を見た私は、息を飲んだ。
鏡に映った私は、練習の時の何十倍も綺麗に見えた。
驚く私を見て、蒼弥が満足気に笑う。
※「それでは結果発表に移ります」
アナウンスが響く。
私は祈るような気持ちで聞いていた。
※「優勝は…！」
その瞬間、離れた所にいるグループから歓声があがる。
隣にいる蒼弥の顔は、見られなかった。
優勝を逃した私達がもらった賞は
『ベストペア賞』だった。
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きっちょむ(プロフ) - めろんぱんさん» めろんぱんさん、いつも励ましのコメント、ありがとうございます！本当に嬉しいです♪次も楽しんで書きながら、めろんぱんさんに楽しんでもらえる作品、考えますね！応援、ありがとうございました♪ (2020年5月19日 23時) (
レス) id: 1ef3c32ee2 (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - きっちょむさんの作品大好きなのでまた作品楽しみにしてます(^^) (2020年5月19日 23時) (レス) id: 3589a32c79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きっちょむ | 作成日時：2020年5月2日 12時
