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コンテストの前日、蒼弥は迷っているようだった。
「やっぱりこっち…」「どうすっかなぁ」
そう言っていると思えば、急に私の顔をじっと見て
「ま、こんなとこか」と、曖昧に笑う。
いつもの自信満々な姿が見えなくて、少し心配になる。
A「蒼弥、緊張してる…？」
私がそう聞くと
猪「明日で全部決まっちゃうからな…」
とぽつりと言った。
どういう意味なのか私が聞く前に、蒼弥が
「さ、帰るか。送るよ」
と言った。
いつものように蒼弥に送ってもらう。
朝が早いから、という理由で食事はしなかったけど、ちゃんと家まで送り届けてくれた。
私が車から降りようとした時、不意に手を握られた。
猪「あのさ、ずっと言えなかったんだけど」
「麗華、本当に彼女じゃねえから」
思わず蒼弥の顔を見ると、意外な程真面目で、緊張したような顔をしていた。
A「でも…」
猪「…麗華はさ、オーナーの妹なんだよ」
A「え…？」
猪「あいつ…彼氏に振られて落ち込んでたから、俺が慰めたんだよ。そしたら急に俺と付き合う！なんて言い出して」
「そりゃあ、あいつかわいいし、いいかなって思った事もあったけど、それだけ。本当、何もない」
「だって俺は…」
切ない瞳で、蒼弥は言う。
蒼弥は何を言おうとしてるのか。
私は目を伏せて、気付かないフリをするしかなかった。
猪「…とりあえず、明日頼むな」
握っていた私の手を離して、蒼弥は言う。
A「…うん。」
猪「俺は……ウソ…をつきたくなかった。だから…」
それだけ言ってまた、切なそうな顔をする。
私は帰っていく蒼弥の車を見ながら、息をはいた。
私もウソはつきたくなかった。
私のウソは、許されるものだろうか。
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きっちょむ(プロフ) - めろんぱんさん» めろんぱんさん、いつも励ましのコメント、ありがとうございます！本当に嬉しいです♪次も楽しんで書きながら、めろんぱんさんに楽しんでもらえる作品、考えますね！応援、ありがとうございました♪ (2020年5月19日 23時) (
レス) id: 1ef3c32ee2 (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - きっちょむさんの作品大好きなのでまた作品楽しみにしてます(^^) (2020年5月19日 23時) (レス) id: 3589a32c79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きっちょむ | 作成日時：2020年5月2日 12時
