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コンテストが近付くにつれて、蒼弥との練習も次第に熱を帯びてきた。
この頃はメイクの練習も始まって、蒼弥にされるがままだ。
何となく私は気恥ずかしい感じがするけれど、蒼弥は真剣に
「この色…」「こっちを試してみっか」
と何度も試行錯誤していた。
麗華ちゃんとはあれから会っていない。
どうなったのか、蒼弥とどうしているのか気になるけど
蒼弥を目の前にすると、そんな事は聞けなかった。
練習が終わると、「暗いから」という理由で蒼弥は必ず送ってくれた。
それが段々車の中で話してから帰るようになり
いっそのこと食事に行こう、となるまで、そんなに時間はかからなかった。
蒼弥は本当に物事をよく知っていて、話をしていると引き込まれてしまう。
感心した私が
「蒼弥ってすごいねぇ」
なんて言おうものなら、それまで饒舌に話していたのが急に静かになって
「…別に普通だわ」
って返された。
そんな時の蒼弥は、顔が赤くなっていて、浮かんでくる笑みを必死で抑えているように見えた。
蒼弥の話をずっと聞いていたい。
蒼弥の笑う顔をずっと見ていたい。
そんな想いがどんどん膨らんでいった。
私にとって、蒼弥との時間が１日で一番楽しみな時間になるのも、あっという間だった。
その日も、いつものように食事をして、いつものように送ってもらった。
たまたま蒼弥が車を停めようとしたタイミングで
私が「ありがとう！蒼弥」と、荷物を持ち直そうと手を上げたとき
ギアチェンしようとした蒼弥の手と、触れ合った。
A「ご、ごめん！」
急いで引っ込めようとした私の手を、蒼弥は握った。
戸惑う私。
ダメだ。いけない、こんなの。
こんな事されたら、本当に蒼弥の事が好きになってしまう。
蒼弥は動揺した私をじっと見て言う。
蒼弥の目からは熱いものを感じた。
蒼「コンテスト終わったらさ、俺、お前に伝えたい事がある…」
そんな蒼弥に、私は目を伏せて答えた。
A「…分かった」
車で走り去って行く蒼弥を見送りながら
地元にいる、両親や弟の顔が浮かぶ。
私には、婚約者がいる。
たった1回会った事があるだけの
心の交流がない、婚約者が。
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きっちょむ(プロフ) - めろんぱんさん» めろんぱんさん、いつも励ましのコメント、ありがとうございます！本当に嬉しいです♪次も楽しんで書きながら、めろんぱんさんに楽しんでもらえる作品、考えますね！応援、ありがとうございました♪ (2020年5月19日 23時) (
レス) id: 1ef3c32ee2 (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - きっちょむさんの作品大好きなのでまた作品楽しみにしてます(^^) (2020年5月19日 23時) (レス) id: 3589a32c79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きっちょむ | 作成日時：2020年5月2日 12時
