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A「本当だー！すごいね！」
時刻はまだ夜の入りだから、そんなに暗くはないけど
沈みそうな夕焼けと、フライングした星の瞬きがすごくマッチして、綺麗だ。
A「こんな場所知ってるなんて、蒼弥って案外ロマンチストなんだね」
猪「よせよせ、違うわ」
心なしか、蒼弥の顔が赤くなる。
猪「ほら、やるよ」
蒼弥が自販機でコーヒーを買ってくれた。
猪「なぁ、Aの地元ってどこ？」
突然聞かれて面食らったけど、ウソはつかずに答えた。
A「周りは山ばっかり。山の中。冬だけじゃなくて、春先にも雪が降って、寒いんだー」
蒼弥は私の言葉に、へぇ、と相槌を打ち
猪「雪国なの？」と聞く。
A「雪国ではないけど、近いものはあるかな」
「なかなか雪がやまなくて、どこにも行けない時なんて、春はまだかなって待ち遠しいの」
「春が来ると嬉しくて、ウキウキしちゃうの」
でも、今はずっと私は冬の真っ只中な気がする。
私の春はまだ、見付からない。
猪「…いいじゃん、春。心地好くてさ」
A「蒼弥は？」
猪「ん？」
A「蒼弥は生まれもここなの？都会っ子？」
猪「違うよ。俺の地元は、海が一面に広がったとこ」
A「へえ！いいとこだねぇ。海かぁ…」
猪「まあ、いいとこだな(笑)」
A「何で出てきたの？美容学校こっちだったとか？」
蒼弥はぎこちなく笑って答える。
猪「ま、力試しみたいなものかな…」
A「ふーん。お家も美容院なの？」
猪「違うよ。…自営業、ではあるけど」
A「やっぱり地元で商売してるとかって関係するんだね」
猪「お前は？」
A「え？」
猪「卒業したらどうしたいんだよ」
卒業？？？
不思議そうな私に、蒼弥が怪訝な顔をする。
猪「…大学行ってんだろ？」
そうだった。
『大学生』って、ウソついてるんだった…！
A「えっとね！えーっと、まだ決めてない！」
猪「…そんな自慢することじゃねえだろうが(笑)」
A「なかなか…見付けられなくて…『夢』とか『やりたい事』とか…」
私の言葉に、蒼弥は笑って
猪「まだ時間あるんだからよく考えればいいじゃん」
そう言った。
考える時間か…
その時間が、私にはない。
猪「ま、明日からまた頼むよ」
A「うん。頑張ろうね！」
猪「…ありがとな」
「Aのおかげで、浮上できたわ」
そう言って笑った蒼弥の顔に、私は見惚れてしまった。
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きっちょむ(プロフ) - めろんぱんさん» めろんぱんさん、いつも励ましのコメント、ありがとうございます！本当に嬉しいです♪次も楽しんで書きながら、めろんぱんさんに楽しんでもらえる作品、考えますね！応援、ありがとうございました♪ (2020年5月19日 23時) (
レス) id: 1ef3c32ee2 (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - きっちょむさんの作品大好きなのでまた作品楽しみにしてます(^^) (2020年5月19日 23時) (レス) id: 3589a32c79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きっちょむ | 作成日時：2020年5月2日 12時
