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お客さんが帰って、蒼弥がまた私の髪を巻いたりしばったりするけど
どうも今日はイマイチなようで、ずっとぶつぶつと
「違うな」「…んだよ」
と言いながら、何となくイライラしているようだった。
その内、ぷい、と何も言わずスタッフルームに入ると、なかなか出てこない。
私は時間はあるとはいえ、一人でお店にいる事がだんだん不安になってきた。
A「蒼弥」
何度か呼ぶと、髪をガシガシ掻きながら出てきた蒼弥は、一言だけ
「…悪い…」
と言った。
こんな蒼弥は初めてで、ちょっと驚いてしまったけど
なぜか私は蒼弥に『笑ってほしい』と強く思った。
A「ね！蒼弥！」
わざと明るい声を出す。
蒼弥は何も言わずに私を見る。
A「あのさ！ちょっと案内してくれない？」
猪「は…？」
A「観光だよ！か、ん、こ、う！」
私の言葉に、蒼弥が目を丸くした。
10分後、私と蒼弥は、蒼弥の車に乗っていた。
猪「全くよー、いきなり何言い出すかと思ったら…」
そんな風に言いながらも、蒼弥の表情は少しほぐれている。
A「だってここに来てから本当にどこにも行ってないんだもん。」
それに、蒼弥に笑って欲しかったんだよ、という言葉は飲み込んで、私は笑う。
猪「そんで？どこ行きたいの？」
A「どこって？」
蒼弥は呆れた顔で
「行きたいとこないのかよ」
と言う。
A「うーん、だってさっぱり分からないし、そもそもどこどこ行きたいとか、あんまり思わないしね」
いつものようにそう言うと、蒼弥は束の間黙って
猪「んじゃ、俺のとっておきの場所に行きますか」
そう言って車を走らせた。
着いた所は広い公園で
猪「ここ、俺のお気に入りの場所なんだ」
と言う。
A「へー！広いね！走るのとか気持ち良さそう。」
猪「だろ？たまに走りに来たり、趣味のローラースケートしに来たりすんだよ。」
A「え？蒼弥、ローラースケートできるの？アイドルみたい！すごーい！」
猪「アイドルじゃねえよ！」
やっと蒼弥が笑ってくれた。
A「降りていい？歩きたいな」
猪「ここさ、夜景がすげー綺麗に見えるポイントあるから、案内してやるよ」
A「やったっ！」
蒼弥と一緒に歩き出した。
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きっちょむ(プロフ) - めろんぱんさん» めろんぱんさん、いつも励ましのコメント、ありがとうございます！本当に嬉しいです♪次も楽しんで書きながら、めろんぱんさんに楽しんでもらえる作品、考えますね！応援、ありがとうございました♪ (2020年5月19日 23時) (
レス) id: 1ef3c32ee2 (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - きっちょむさんの作品大好きなのでまた作品楽しみにしてます(^^) (2020年5月19日 23時) (レス) id: 3589a32c79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きっちょむ | 作成日時：2020年5月2日 12時
