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「あっ、ねぇそれ、前見た時からいいなあって思ってたんだけど、どこで買ってるの？」
彼が指さしたのは、私が布巾で拭いた菜箸だった。
「これですか？えと……カッパ橋ですね」
「へぇー！いやぁね、俺も欲しいなと思って」
彼が料理をすることを知らなかったけれど、
器用な印象があったので、さほど驚きはしなかった。
それにしても菜箸……
いつ見られ………………
あっ。あの生放送の時？
本当に記憶力がいいんだなぁ。
ええっと、何と答えるべきなんだろう。
「差し上げましょうか？」は、気持ち悪がられるだろうし、
「買ってきましょうか？」は、なんだか少し違ってる。
悩んだ挙句、
「ではお店お伝えしましょうか？」と聞いてみた。
「一緒に行くのはだめ？」
返ってきた答えに度肝を抜かれた。
とろん、と下がった目尻。
綺麗な瞳が私を見つめてる。
思わず視線を逸らした。
そのまま目を合わせていると、冷静な判断ができなくなりそうだった。
「えっと、構いませんが……井ノ原さんは大丈夫なのですか？私なんかと出歩いて」
「え！なんで！？」
どうやら彼は、私のようなモブキャラと一緒に歩くことの重大性を、イマひとつ理解していないらしい。
気づけば連絡先を交換していて、私のスマホの中に"井ノ原快彦"の名前が加わった。
「じゃあまた予定教えてもらっていい？」
「井ノ原さんのご予定に、私が合わせますよ。基本的に自由に動けますから」
「そお？ごめんね。こっちから頼んだのに」
「全然気になさらないでください」
「ありがとう〜決まり次第すぐ連絡するから！」
「分かりました。ありがとうございます」
その時、井ノ原さんのスマホが鳴った。「やべ、マネージャーだ」と言って笑ってる。
「じゃ、また明日ね」
「お疲れ様でした」
風のようにしゅるりと姿が消えてゆく。
さっきまでの時間が夢みたい。
手元のスマホに視線を落とすと、
「おつかれさま！」と賑やかで可愛らしいスタンプが送られてきていた。
どうやら夢じゃない……らしい。
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ﾖ-ﾘﾝ(プロフ) - 櫂さん» 櫂さん、こちらもお楽しみいただけて幸いです。本当にありがとうございます。いつでも遊びにきてください！ (2022年8月12日 7時) (
レス) id: 3d151d95ac (このIDを非表示/違反報告)
櫂 - こちらの作品も読ませていただきました……本当に素敵な作品です。幸せな空間がすぐ想像出来るので、また読みにきたいと思います。完結までお疲れ様でした！ (2022年8月6日 23時) (レス) id: 4f295eac92 (このIDを非表示/違反報告)
ﾖ-ﾘﾝ(プロフ) - ひささん» ひささん、ありがとうございます！ぜひともよろしくお願いしますm(_ _)m (2021年10月19日 0時) (レス) id: 3d151d95ac (このIDを非表示/違反報告)
ひさ(プロフ) - 新しいお話、楽しみにしてます！ (2021年10月18日 5時) (レス) @page44 id: d7d462c614 (このIDを非表示/違反報告)
ﾖ-ﾘﾝ(プロフ) - ひささん» ひささん、いつもありがとうございます。そうですよね……やはり寂しさが募りますよね。私の物語がそのようにお役に立てていること、大変恐縮です……！本当に嬉しいです。完結までお付き合い頂けると幸いです。 (2021年10月5日 1時) (レス) id: 3d151d95ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾖｰﾘﾝ | 作成日時：2021年9月19日 1時
