ゆれるキッチン！[Y.I]

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V6 25周年のライブは、生配信だった。



我が家もライブ会場へと様変わり。


そこにいた彼は、

"みんなのイノッチ"でもなく、
"うちのよしくん"でもない、

アイドル井ノ原快彦。


無観客のWeb配信だからこそできることを魅せるV6の姿は、まさしくプロ集団だった。



そんな未曾有の事態に見舞われたアニバーサリーイヤーも、気づけば今日で終わり。






「ただいまぁ〜」


マスク姿で帰宅したよしくん。


「おかえりなさい。人、多かったですか？」


「いやいや全然だよ。大晦日感ゼロ」


玄関のアルコールスプレーで手を消毒して、ずっしり重いエコバッグを受け取った。



「こんな日に朝からありがとうございます。助かりました」



数日前に買い溜めしていたけれど、まだ少し足りないものがあって、急遽買い出しに行ってきてもらった。


「いいえ〜俺にできることなら何だってするよ！」

そんなふうに言って目尻にシワを寄せる彼を
今すぐに抱きしめたいけど我慢。

よしくんがマスクを捨て、手を洗って、うがいして。

その様子をじっと見つめていたら、鏡越しに時々目が合った。

そうしたら、変な顔してアピールしてくるから、私も変な顔して応える。

こんなことして遊ぶから余計時間かかるんだけど、楽しくてやめらんない。



「超豪華じゃん！」


「えへへ、張り切っちゃいました」



おせち料理なんて何年ぶりに作っただろう？


年末によしくんが家にいることは初めてなので、はしゃいでしまってる。


重箱に詰める時に使っているのは、よしくんとお揃いの菜箸。……と、同型のもの。毎年同じのを買い替えて、もう何代目になったか分からない。

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