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しかし……私の予想は甘かった。
春になって、街から人が消えた。
私は決まっていた仕事が次々に延期になり、毎日を家の中で過ごしている。
不思議で仕方ないけれど、彼でさえ家にいることが増えた。
すごく嬉しいのに、すごく不思議。
「よしくんお昼ご飯、何がいいですか？」
「そうだなぁ……」
このところ、彼がボーッとしていることも増えた気がする。リラックスしてる証拠なら安心だけど。
「よしくん、なんか根詰めてません？」
「そうかなぁ。そんなことないよ？」
「それならいいんですけど……今日もリモート会議ですか？」
「んーとね、今日はないよ」
「じゃあ私と遊んでください」
「お、いいね。なにする？」
「ピザ作りましょ」
「ちょー楽しそうじゃん！」
目尻に皺を寄せて笑ってくれた。
「――で、次は水？」
「です」
誘っておきながら申し訳ないが、私はそんなにピザ作りの経験がない。
レシピをガン見しながら、生地から作っていく。
捏ねる作業をよしくんにお任せして、私はトッピングの材料を準備。
「こんな感じかなー？」
さすがはよしくん。綺麗にまん丸になった生地。
でも、こっちを見るその顔は……
「粉ついてます」
ほっぺたに付いた小麦粉を、拭うためにタオルを持って近づく。
そしたら、自然に私の身長に合わせるようにして
よしくんは腰をかがめてくれた。
「ありがとう」
なんともベタなシチュエーション。
だけど、何だか鼓動が早くなってる気がする。
多分、この調子だと一生慣れることは無いんだろうな。
「ちょっと待って」
トッピングの段階で、よしくんは何やらやりたいことがあるらしい。
「あ、これはもしや？」
ピザ用チーズを5かけら(そんな単位はあるのだろうか？)用意し、眉、目、口を配置した。
そしてよしくんは自分を指さしてる。
そう、彼にそっくりのあのキャラクター。
「かわいい。写真撮っていいですか？」
「後で俺に送って〜」
スマホでカシャカシャ、角度を変えたり、よしくんとのツーショットにしたり。
「でもチーズ少なすぎだろ」
一通り遊んだ後、彼は自らツッコミを入れてから
その上に追加のチーズを乗せた。
遊んでくれてありがとうございます♡
画像を送信しました
うわー、A写真うまい!
焼き上がりまで、家にいるのにスマホで会話。
やっぱり何でも褒めてくれるよしくん。
何でもない日が、こんなに愛おしいなんて。
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ﾖ-ﾘﾝ(プロフ) - 櫂さん» 櫂さん、こちらもお楽しみいただけて幸いです。本当にありがとうございます。いつでも遊びにきてください！ (2022年8月12日 7時) (
レス) id: 3d151d95ac (このIDを非表示/違反報告)
櫂 - こちらの作品も読ませていただきました……本当に素敵な作品です。幸せな空間がすぐ想像出来るので、また読みにきたいと思います。完結までお疲れ様でした！ (2022年8月6日 23時) (レス) id: 4f295eac92 (このIDを非表示/違反報告)
ﾖ-ﾘﾝ(プロフ) - ひささん» ひささん、ありがとうございます！ぜひともよろしくお願いしますm(_ _)m (2021年10月19日 0時) (レス) id: 3d151d95ac (このIDを非表示/違反報告)
ひさ(プロフ) - 新しいお話、楽しみにしてます！ (2021年10月18日 5時) (レス) @page44 id: d7d462c614 (このIDを非表示/違反報告)
ﾖ-ﾘﾝ(プロフ) - ひささん» ひささん、いつもありがとうございます。そうですよね……やはり寂しさが募りますよね。私の物語がそのようにお役に立てていること、大変恐縮です……！本当に嬉しいです。完結までお付き合い頂けると幸いです。 (2021年10月5日 1時) (レス) id: 3d151d95ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾖｰﾘﾝ | 作成日時：2021年9月19日 1時
