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「疲れた……」
コンビニで買ったブラックコーヒーを喉に流し込んだ。
疲れた体に染みる苦味。
独り者になったから、帰るオフィスが無い代わりに、上司への報告義務はないし、人間関係のしがらみも無い。
誰にも縛られない……うん、最高。
おかしいな。
疲れていたはずの身体がみるみる元気になっていく。
駅に向かう足取りは、おそろしいほどに軽かった。
周りに誰もいなければ、スキップをしていたと思う。
大通りから1本外れた道だけど、さすがは賑やかな若者の街。
必ずどこにでも人がいる。
信号待ち。
周りの人はみんなスマホの画面に視線を落としている。
(青になったら気づけるのかな？)
心の中で余計なお世話をしながら、辺りをぐるりと見渡した。
ビル、高いなぁ。
ああいうところに勤められる人を尊敬する。
私なんか組織の人間には向いていないし、そもそも満員電車に決まった時刻に乗り込むなんてわた「Aさーん！」
(え？)
心の中でごちゃごちゃ言っていたら、誰かに呼ばれた。
周りの人もその声に驚いて、何人かが顔を上げた。
どこ？
どこから声が聞こえてるの？
「Aさん〜」
振り返ると、その声の主を見つけた。
「ええっ！？」
思わず変な声が出てしまった。
車の中から私の名前を呼び、手を振っていたのは、井ノ原さんだったのだ。
同じ信号に引っかかり、停車していたようだ。
「さっきはありがとうね〜！！」
「いやっ、あっ、こちらこそ……！」
ただペコペコ頭を下げることしかできなかった。
そうこうしているうちに、信号が青に変わってしまう。
「またね〜！」
あのニコニコ笑顔で、手を振りながら、
彼の車は走り去ってしまった。
周りの人は何事も無かったかのように、スマホを片手に横断歩道を歩き始めた。
私は少し遅れて、歩き始める。
なんで私なんかに声をかけるんだろう。
不思議で仕方がない。
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ﾖ-ﾘﾝ(プロフ) - 櫂さん» 櫂さん、こちらもお楽しみいただけて幸いです。本当にありがとうございます。いつでも遊びにきてください！ (2022年8月12日 7時) (
レス) id: 3d151d95ac (このIDを非表示/違反報告)
櫂 - こちらの作品も読ませていただきました……本当に素敵な作品です。幸せな空間がすぐ想像出来るので、また読みにきたいと思います。完結までお疲れ様でした！ (2022年8月6日 23時) (レス) id: 4f295eac92 (このIDを非表示/違反報告)
ﾖ-ﾘﾝ(プロフ) - ひささん» ひささん、ありがとうございます！ぜひともよろしくお願いしますm(_ _)m (2021年10月19日 0時) (レス) id: 3d151d95ac (このIDを非表示/違反報告)
ひさ(プロフ) - 新しいお話、楽しみにしてます！ (2021年10月18日 5時) (レス) @page44 id: d7d462c614 (このIDを非表示/違反報告)
ﾖ-ﾘﾝ(プロフ) - ひささん» ひささん、いつもありがとうございます。そうですよね……やはり寂しさが募りますよね。私の物語がそのようにお役に立てていること、大変恐縮です……！本当に嬉しいです。完結までお付き合い頂けると幸いです。 (2021年10月5日 1時) (レス) id: 3d151d95ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾖｰﾘﾝ | 作成日時：2021年9月19日 1時
