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「俺はずっとAちゃんのこと見てたよ……って、怖いか。ごめんな」
「何で……何でそんなに優しくしてくれるんですか……？」
「Aちゃんのことが好きだから。味方でいたいんだよ」
「……っ？」
声すら出なくて、固まってしまった。
井ノ原さんが私を好き？
……聞き間違いだろうか。
「急にごめんね」
そう言って照れ笑いする彼。
「ごめんなさい……」
「えっ？」
「あっ、えっと……ごめんなさい、あの……」
彼は私を見つめ、思い切り眉尻を下げて
次に出る私の言葉を待っている。
「井ノ原さんも泣いてるから……」
「あれ、おっかしいな」と言って笑いながら、
手の甲で涙を拭っていた。
「Aちゃんが頑張ってる姿見てたから、なんか悔しくて……マジでごめん。泣くつもりなかったのに」
「本当に優しいですね」
「ねぇAちゃん、もっかい言わせて？」
私の肩に手を添え、語りかけるようにして言った。
「俺ね、Aちゃんのこと好きなの。
気づいた時には、もう。何度もばったり会った時なんて、勝手に運命感じたりしてたんだよ」
「勿体ない言葉の数々、とても嬉しいです。でも、ダメです」
「やっぱり、俺じゃダメ？」
彼は少し屈んで私の目線に合わせた。
私は静かに首を横に振った。
「井ノ原さんがダメなんじゃありません。井ノ原さんは、優しくて、素敵な方です。
でも私だからダメなんです。私なんかが釣り合うはずがありませんから……」
「私"なんか"って言葉、俺がAちゃんから奪っちゃおうかなー」
涙にぬれた目を、思い切り細めて私にみせた。
「俺の気持ち、一旦持って帰ってもらえないかな？」
「は、はい……」
思わず、勢いで頷いてしまった。
井ノ原さんは、少し照れながら、またいつも通りの笑顔で「ありがとう！」と言った。
去り際に、
「今日は遅いから、早く帰ってゆっくりやすんでね」
と声をかけてくれる。
「お疲れ様でした」
と、その背中を見送った。
その優しを、初めて素直に「嬉しい」と感じている自分がいる。
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ﾖ-ﾘﾝ(プロフ) - 櫂さん» 櫂さん、こちらもお楽しみいただけて幸いです。本当にありがとうございます。いつでも遊びにきてください！ (2022年8月12日 7時) (
レス) id: 3d151d95ac (このIDを非表示/違反報告)
櫂 - こちらの作品も読ませていただきました……本当に素敵な作品です。幸せな空間がすぐ想像出来るので、また読みにきたいと思います。完結までお疲れ様でした！ (2022年8月6日 23時) (レス) id: 4f295eac92 (このIDを非表示/違反報告)
ﾖ-ﾘﾝ(プロフ) - ひささん» ひささん、ありがとうございます！ぜひともよろしくお願いしますm(_ _)m (2021年10月19日 0時) (レス) id: 3d151d95ac (このIDを非表示/違反報告)
ひさ(プロフ) - 新しいお話、楽しみにしてます！ (2021年10月18日 5時) (レス) @page44 id: d7d462c614 (このIDを非表示/違反報告)
ﾖ-ﾘﾝ(プロフ) - ひささん» ひささん、いつもありがとうございます。そうですよね……やはり寂しさが募りますよね。私の物語がそのようにお役に立てていること、大変恐縮です……！本当に嬉しいです。完結までお付き合い頂けると幸いです。 (2021年10月5日 1時) (レス) id: 3d151d95ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾖｰﾘﾝ | 作成日時：2021年9月19日 1時
