アナタの事、好きだけど愛してはいない (ページ21)

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12話愛についてページ21

「所で彼と言われましたが…そのご友人は男性ですね？」
「えっ？リリイさん…四ツ葉みたいな事聞きますね…。そうですけど…」

四ツ葉はよく聞いてくる。
綿貫くんと仲良くなって友達出来たーって報告したら「男？女？」って聞いてきたし。大体…それ聞いた後にムスッとするから、もうその様な報告はしないようにした。

どうしてそんな事を聞くんだろ…と見詰めていると「あぁ、すいません」とニコッと笑ってきた。

「四ツ葉が居たら拗ねるなーと思いまして…。今の話は四ツ葉には内緒ですね」
「…もしかして…その為に四ツ葉と私を別行動したんですか？」
「さぁ、どうでしょうね？
四ツ葉は面倒くさいですが…Aさんが可愛くて愛おしくて心配で堪らないんでしょうね」

さらっと面倒くさい男認定されてる四ツ葉氏。だが、私はリリイさんの言葉にピクリっ…と、反応する。勿論、四ツ葉が面倒くさい事に反応した訳じゃない。まぁ、本人自身面倒くさい自覚はあるらしいよ…。

「リリイさん…私、未だに愛が分からないんです…。変、ですよね。四ツ葉にも他の方にも大事にされてるのに…」

吐き出すように呟く私にリリイさんは優しく頭を撫でる。

「良いんですよ。人によって愛の形は違うんですから。アナタは“ソレを信じにくい”だけです。でも、これだけは覚えていて下さい。
“すべては愛に収束する”
誰もが全て愛されるために生まれるものなんです」

優しい声と優しい頭の撫で方。私は俯き気味に「はい…」と答えた。

「四ツ葉の愛は重い時が有るかもしれませんが、彼に悪気は無いんです。どうか私の弟を宜しくお願いしますね」
「…何で四ツ葉は私を“愛してる”と言ってくれるんですか…？」
「…四ツ葉にとってアナタは大事な存在だからですよ。…無理に四ツ葉の愛に答えようと焦らなくても大丈夫です。
…あの子の愛は“無償の愛”ですから」

…無償の愛…？それってどういう意味かを聞こうと顔をあげるとリリイさんは蝶の姿になっており、そのまま去って行った。
…。仕方ない。家で四ツ葉を待とう。

しかし、四ツ葉が帰ってこない。
もう時刻は7時半。LINEも入れたが既読すら付かない。どうかしたんだろうか…大丈夫だろうか…。「寂しいな…」と、ソファーに体操座りで顔を埋めながら呟く。
すると、ガチャンと扉が開く音が聞こえた。帰ってきた…！と、私は玄関まで小走りで駆け寄る。

しかし、其処にいたのは…左腕にパックリと開いた切傷を負った四ツ葉だった。