8話 四ツ葉とリリイさんと私 ページ15
「…遅い」
「ご、ごめん…」
私はリリイさんと四ツ葉がバイトをしている喫茶店に入った。ドアを開けるとまず、エプロン姿で不機嫌顔の四ツ葉。ドア閉めようかと思ったわ。店員さん…そんな怖い顔してたらお客さん逃げてくよ…。
私は怒られる事が嫌いで怖い為、リリイさんの後ろに隠れている。リリイさんは 「あらあら…」と困ったように笑う。
「…遅れるなら理由と着く時間を連絡しろって言ったのに」
「いや…無茶言わないで…」
いる? クラスメートが出血してるのに「ゴメーン、クラスの子が怪我したから遅れるー」なんて悠長に連絡する奴。
アンタは私をサイコパスにしたいのか。
「全く…四ツ葉? 彼女を困らせないで下さい。私が彼女を連れてくると言ってアナタは納得したんでしょう?」
「そうだけど…」
…ん? リリイさん、今なんて言った?
困惑したままリリイさんを見上げる私にリリイさんは「あぁ」と答え出した。
「Aさんの情報を聞いて駅前に来たのですが…その前にこの喫茶店に寄って四ツ葉と話をしていたんです。すると、吸血鬼が人を襲ったのと…その近くにアナタがいるのが見えて…」
「…俺が行こうとすると『アナタの幻術でどうにか出来る範囲では無いので此処は私に任せてください』って…」
四ツ葉が溜息紛れに続ける。
あぁ…そう言うこと。
…1つ言いたい事がある。
それを早く言ってよリリイさん…。
…怒ってるよ…絶対 って内心ガクブルでこの喫茶店に入ったんだから…。
…じゃあ四ツ葉の不機嫌顔は何なのだ。
四ツ葉も私と同じで無表情が多いけどさ…本当に四ツ葉は怒ってないのだろうか?
「…怒ってない…? 四ツ葉…」
「…怒ってないよ。怒ってないけど…後ろに隠れてるのは腹立つ」
怒っては無いらしいが…これ以上隠れていると怒るぞ発言をされ、直ぐにリリイさんの後ろに隠れるのを止め、四ツ葉の前に立つ。四ツ葉は私の頬に手を当て真っ直ぐに見詰めて来た。
「A、怪我…してないか? 頬に血が付いてた様に見えたんだけど…。怖くなかったか? 気分は悪く無いか? 大丈夫か?」
四ツ葉は先程血が付いてた箇所を優しく撫でる。…良かった…何時の優しい四ツ葉だ。
「アレは帰り血だから。怪我はしてないよ、大丈夫。怖くなかった…って言えば嘘だけど…四ツ葉とリリイさんの顔見たら安心した…から平気」
「…そう、か。良かった…」
四ツ葉が安堵の溜め息を吐き、リリイさんはその様子を見ながら、ずっと微笑んでいた。
8話 四ツ葉とリリイさんと私part2→←7話 ビルの屋上にて
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作者名:キタペン | 作成日時:2018年9月14日 18時