アナタの事、好きだけど愛してはいない (ページ41)

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27話雨の日の放課後part2 ページ41

「あーもー！はいっ、やるっ」

綿貫くんは私と城田くんの前にビニール袋に入った“何か”を差し出す。
…開けてみると買おうとしていたレシピ本が入っていた。城田くんも今、買おうとしていたリストバンドが入っていた様だ。

「真昼がなくしたって言った時に買ったんだよな…。Aも俺が調理係に立候補してから怪我が増えた気がして…責任あるかもって…」

ゴニョゴニョと綿貫くんが私の絆創膏が張ってある箇所を見ながら告げる。
私も城田くんも驚いた表情を浮かべたが…嬉しいな…お礼を言わなきゃ。

「…嬉しいよ…ありがと綿貫くん」
「俺も。ありがとう桜哉」
「止めろよ恥ずかしいっ。もっと言って！」

照れ笑いを浮かべ、綿貫くんは私と城田くんの肩を組んだ。「どっちだよ！」と笑いながら突っ込む城田くん。
私は「上手く出来たら渡すね」と言うと…「おう、待ってる！」と返してくれた。
…クッキー、また頑張ろう…。

お店を出て、2人とは別れ…今は1人。
雨は強くなる一方で、貰った本を濡らさない様に守備して歩くが…先程から…

…誰かに見られている様な気がする…。

気づいたのはお店を出てからだ。
後を付けられてる…？ …気のせいって可能性もあるけど…雨の日は暗殺や襲撃に持って来いだもんな。証拠は雨で流れてしまうから便利だ。吸血鬼の場合でも雨の日を狙うのかな？

…確かめよう。と私は小走りをして、1番近くの裏路地に入った。そして、ひょっこ… と顔を出し、私が今…通った道を見てみた。
雨の影響で通行人は少ないが…私を付けていた様な人は居ない様だ。
…心配しすぎたかな…？
…まぁ、良い。この裏路地からマンションまで近道が出来る。気味が悪いのは本当だし…このままの道で帰ろうかな、と振り返った…瞬間だった。

…ガシャと私のオデコに…重くて固くて冷たい…銃口が向けられていた。
向けていたのは…3段重ねの紙袋を被った大柄の男性。首にはネジ巻きの様なペンダントを付けている。
その男性は…途切れ途切れの低い声で私に喋りかけて来た。

「…背後…が、がら空き…だ…」
「んぎゃあっ…！」

銃を向けられている事、外見が恐ろしい事、声が低くく怖い事…怖い物尽くしたった為、私は女子力0の悲鳴を上げ、この前手に入れたリードのスタンガンを衝動的に…その男性に押し付けていた。
…男性は微かな呻き声を上げ、私から距離を取った。
私はと言うと…慣れない動きの反動で尻餅を着いてしまった…。
…スカートが濡れたっ…。