19話 苺のアイスpart2 ページ31
ボンヤリだけど、目の前にいるグラサンの人の事を思い出した。
…会った事、有ったわ。
良かったぁ…新手のナンパか、宗教の勧誘かと思ってたから。
グラサンの人は「思い出してくれて良かった」と嬉しそうに笑う。
…そして ダッツ食べて見せてよオーラ を私に発して来た。好物だが流石に躊躇する…が、スマホの為だ。…私は苺味のダッツを食べる事を決意した。コレで毒でも入っていても私の鋼の胃袋でどうにか…。いや、毒は無理だよ。
ええい、当たって砕けろだ…私はスプーンで掬い、口に入れる。
…ん？ …あれ…美味しいんだけど…？
「美味しい？」
「…はい」
「そう。ソレは良かった」
流石ダッツ。
流石、高級アイス。めっちゃ旨い。
私の言葉を ニカッ と愛想良く笑う男性。
男性は抹茶のアイスを横で食べ始めた。
…その格好で抹茶は似合うね。
すると、プルルっ と着信音が鳴る。
コレは私のスマホの音では無いな。…すると、グラサンの人は「僕かな？」とスプーンを口に咥えながらスマホを取り出した。
「もしもし。あぁ、僕だよ」
…身内にも僕しか言わんのかい…。
グラサンの人は穏やかな顔で「そう…皆揃ったの。うん、直ぐに行くよ」と電話を終わらした。そして、先程没収した私のスマホを「返すよ」と手渡して来た。
…会いたかったよ、私のスマホ…。
「僕、“家族”に呼ばれたから行くね。付き合ってくれてありがとう、A」
「…此方こそアイスありがとうございます。今日と…“あの時”も」
グラサンの人は 「お礼とか言えるんだ…」と少し驚いた表情を見せた。
失敬な、言えるわお礼ぐらい。
…でもコレだけは言いたい。
「でも次…不法侵入したら通報しますので。…もう私は小さい頃みたいにメルヘン思考じゃないですから」
首を横に振りながら言い放つ。真顔で。
すると、グラサンの人は…
「…あはっ、あはは！
本っ当に君は…可愛い顔をして可愛くない事を言うなぁ！ あー…面白くない」
また発狂した。もうヤダこの人。
…此方だって笑い目的で言ったんじゃ無い。本当に侵入したらガチで通報してやるからな。
“昔”とは違って私には
「じゃあね、A。
僕の名前は“その内分かる”と思うからその時にね。
…僕は君の事、結構気に入ってるから“迎え”が必要になったら“迎え”に来てあげるよ」
…そう言って彼はその場を後にした。
…迎えとは…？
“昔”も今もあの人は何者なのだ一体…。
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作者名：キタペン | 作成日時：2018年9月14日 18時
