13話 無償の愛 ページ24
―無償の愛
ソレは見返りを求めない愛の事。四ツ葉が私に向けている愛は、無償の愛だとリリイさんは言った。でも、本当にそうなんだろうか…。
「ねぇ四ツ…むぐっ…」
朝同様口を塞がれる。まぁ今度はソフトなキスでは無く…深いキスをして来たのだが。
四ツ葉はたまに、こういったキスもしてくる。特に私の血を吸った日とか…。
軽やかな水音が耳元で響く。こう言う時って…目のやり場が分からないので、目を瞑ってしまうのが癖だな。
…暫くすると はぁっ… と、色っぽい息と共にキスが止む。四ツ葉は私の頭を撫でながら抱き締め、微笑んだ。
「A…。あっ、ゴメン…先に何か言いかけてたな。何? どうかした?」
「…うぅん、何でも無い。四ツ葉こそ何?」
「あぁそう。 ただ…愛してる って言いたかっただけ」
「うん…そっか」
今度は強く抱き締め、四ツ葉は再び私に深いキスを始めた。
―ゴメンね…四ツ葉。愛してるって言えなくて。
だから代わりに私は…四ツ葉が求める事は、出来る範囲なら答えようとしている。キスもハグもその内の1つだ。
でも、今日の四ツ葉は何だか何時もと違う。
…2回目の深いキスが終わって直ぐに、「…四ツ葉…今日は何時もと違うね」と声を掛けた。
「…そう、かもな。何か自分でもそんな感じするし…」
「何かカッコ悪いな」と溜息を吐いた後…
「まぁ、強いて言うなら…」
困った笑顔を私に向けながら、こう告げて来た。
「不安、なのかもな。…A、城田 真昼 の監視するんだろ。“1番目”の主人の。…真祖7人兄弟は椿に執着されてるから…何か事件に巻き込まれたりしないか…とか」
私の肩に顔を埋めて四ツ葉は ボソボソっ と呟く。私は四ツ葉の頭を撫でながら「心配してくれてありがとう」とお礼を告げた。
「何か起きたら俺を頼れ。良いな?
…お前があの家や兄さんの役に立ちたいのは分かる。でも無茶はするな。お前が怪我をしても“有栖院”の人間は喜ばないし…何より俺もイヤだ」
四ツ葉は私を更に強く抱き締め、こう続けた。
「俺はお前を愛してる。お前は俺の“宝物”なんだ…」
…宝物、なんて…まるで親が子に言うような事、言うね…。
親の愛…それこそ無償の愛に近いんじゃないか、と思ったが…四ツ葉は何の前触れも無く、私に本日3回目の深いキスをし始めた。
…コレは違うのかも。
…だって、親が子にこんなキスしたら大問題になるし。
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作者名:キタペン | 作成日時:2018年9月14日 18時