58…T ページ9
「ごめん。俺のせいで...
とりあえず、今日は帰るな？」
そう言って、ミツは帰途についた。
.
分かんない。
訳が分からなかった。
何が起きてるのか理解できないし
理解したくもなかった。
きっと、千賀もそんな気持ちだったんじゃないかな。
.
それから俺達も何をするでもなく
黙ったままただ時間だけを持て余してた。
チャイムが鳴った。
俺達は何も言わずに、別れた。
.
.
「玉ぁ...
ホントに行くの？俺、やだよぉ〜」
「うるさい...行くぞ、宮田」
放課後、嫌がる宮田を引き連れて
3年生の階へと足を踏み入れる。
目的地であるA組にはすぐに辿り着いた。
今、終わったところで
ぞろぞろと出てくる先輩達を押し退けて
後ろの席へと足を進める。
俺の名前を呟く先輩達なんか目もくれずに
俺の視線は、藤ヶ谷先輩に釘付けだった。
『ざわざわ』
普段並ばない二人が向かい合う構図に
興味があるのか知らないけれど、結構な数のギャラリーが残った。
.
「藤ヶ谷先輩。どうもはじめまして」
「...玉森くん、だっけ？」
「..................」
「............み、宮田ですっ」
「横尾 渉です。
どうしたの？...わざわざクラスまで来て」
.
雨はまだ止まず、冷たい風が俺達の間をすり抜ける。
ピリピリとした、寒々しい空気。
それが俺達の出逢いだった。
.
「ミツのこと、どう思ってんの」
「ちょｯ...玉ぁっ」
「別に」
「は？」
「別になんとも思ってないけど...？」
涼しい顔したフリして、苦しそうにそんな台詞を吐き出す痛々しいこの人は
なんて寂しい人なんだろう。
そう思った。
さっきからミツの机なんだろう。
メチャクチャにされたソレを視線に捉えながら
拳を強く握る姿に、胸が苦しくなる。
(好き、なのかな.........ミツのこと)
多分、恋愛感情として抱いているだろう
彼のミツを『好き』な気持ち。
痛いほどそう伝わって来るのに、なんで彼はミツを助けない？
何か理由でもあるのかな...
.
.
何だか不器用なこの二人は
俺達と似ている気がした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 194人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
じぇし(プロフ) - 君色。さん» 君色さんこんにちわ。ありがとうございます^_^更新は遅いかと思いますが、引き続きよろしくお願いします^^ (2018年1月13日 12時) (
レス) id: 8a24218bb8 (このIDを非表示/違反報告)
君色。 - すっごく面白いです！これから二人がどうなっていくか、見所ですね！ (2017年12月28日 12時) (レス) id: 51a53eab2a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：じぇし | 作成日時：2017年12月9日 21時
