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「あっ...、雨だ」
さっきまで勢い良く俺達を照らしていた太陽は
その身を灰色に隠して
かわりに恵みの雨をもたらした。
泣くことが出来ない、そんな俺達のかわりに
空が泣いてくれているような気がした。
.
校舎の中へと戻り、階段に腰掛ける。
ニカが帰ってくるまで
誰も、一言も話そうとはしなかった。
.
「ごめん...みんなっ、......無理だった」
「...ニカ」
「どーしたんだよ、にか...?」
「ニカちゃん...?」
ニカは階段には座らずに下の踊り場で立ち尽くしたまま、俯き、震えながらそう言った。
思わず顔を見合わせるも、よく分からない。といった顔をしている玉ちゃんと宮田。
俺には、ニカの力一杯握られた拳が目に見えて
何故だか分かってしまった。
ニカの言いたいことが、分かってしまった。
.
「ニカ.........大丈夫。
俺達は多分、ずっと一緒に居れる。」
「............みつっ、」
「運命だなんて、信じたくもないけど...
俺達が出会ったのは必然で
俺達が同じ場所に居て
同じ方向を向いてるのは運命なんだよ。きっと」
『千賀の気持ちを大事にしてやれなかった』
ニカは決して言葉にはしなかったけれど
俺はそんなニカの思いに
俺の想いをぶつけた。
本当、運命だなんて信じたくない。
信じたくなかった。
神様なんて信じていないし
もし、居たのなら。
.
《俺は神様を殺したい。》
.
それほどまで、『運命』に対して
憎悪で満ち溢れていた俺のココロは
コイツらと出会って、変わった。
あれだけ一人きりを好んで、あれだけ人を拒んでいた俺だったのに
コイツらとは今までの人生が嘘だったかのように
打ち解け、笑い合い...俺の生活の一部になった。
あっという間。
俺達は出会ってすぐお互いに依存しあうようになり
それにもすぐに気付いた。
だけど誰一人としてそのことについて言い出さなかったのは、きっと離れたくなかったからなんだと。俺は思う。
『運命の人って、一人じゃないんだ。』
無意識的に、全員がそう思ったに違いない。
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じぇし(プロフ) - 君色。さん» 君色さんこんにちわ。ありがとうございます^_^更新は遅いかと思いますが、引き続きよろしくお願いします^^ (2018年1月13日 12時) (レス) id: 8a24218bb8 (このIDを非表示/違反報告)
君色。 - すっごく面白いです!これから二人がどうなっていくか、見所ですね! (2017年12月28日 12時) (レス) id: 51a53eab2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:じぇし | 作成日時:2017年12月9日 21時