53…S ページ4
それは突然訪れた。
俺達は決して欲したわけではなかったのに
それは俺達のナカを無理矢理突き抜けて行った。
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「今日はミツ来るかなぁ〜」
「玉...大丈夫。きっと来るよ」
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今日も昼休みに、屋上で宏光を待っていた。
玉は少し拗ね気味で
それを見て宮田は心配そうにしている。
二階堂は心ここにあらずって感じで
俺はというと、
そんな皆を冷静に他人事のように見ていた。
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また今日も続く重い沈黙は
俺達の時間の感覚を鈍らせて
まったく、何分経ったのか分からない。
俺は時間を確認しようと、携帯を取り出した。
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その時
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『キィ............』
鉄の扉が、軋みながら開く音がした。
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「みつッ...!?」
途端、しっかりとした声と眼差しで
二階堂は扉へと意識を向けた。
一歩遅れて、皆も注目した。
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「マジヤバくな〜い?
スポーツ王子のアレ。チャラ男様がやった
らしいよ〜.........なんか〜嫉妬したんだってぇ」
「何ソレ〜。ウケるんだけど」
空気が、凍り付いた気がした。
何だかケバい女子達の言葉を
皆が必死に理解しようと、時間が止まっていた。
その噂は、勿論生徒なら誰でも知っている。
ガヤは俺の憧れで、中学からの先輩でもあった。
宏光とは最近出会ったものの、俺達の友情も
絆も、確かにそこに存在していた。
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どちらも大切な人なのに
その大切な人が、大切な人を傷付けたなんて
理解出来ても飲み込みたくなかった。
ホントは、理解したくもないけれど。
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いつの間にか落ちていた視線を上げると
この空気をもたらした女子達が
そそくさと屋上を後にするのが、視界の端に見えた。
きっと俺達の重苦しい雰囲気に
ただならぬ物を感じたに違いない。
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誰も、一言も発しないまま
時間は過ぎて行き
その重い扉が、開いた音で
みんなの意識がまた浮上していった。
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「ひさし、ぶり...?
急に来なくなって、その...ごめんな」
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ねぇ宏光。
俺はその笑顔を、信じてもいいのかな
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じぇし(プロフ) - 君色。さん» 君色さんこんにちわ。ありがとうございます^_^更新は遅いかと思いますが、引き続きよろしくお願いします^^ (2018年1月13日 12時) (レス) id: 8a24218bb8 (このIDを非表示/違反報告)
君色。 - すっごく面白いです!これから二人がどうなっていくか、見所ですね! (2017年12月28日 12時) (レス) id: 51a53eab2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:じぇし | 作成日時:2017年12月9日 21時