70…F ページ21
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「ここで、俺に助けを求めてたんだよな...
ごめん北山っ.........。
たす、けて...あげ...れなく...て.........っ...クッ...」
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学校に着き、自分の机の傷を優しく撫であげる。
痛々しい傷跡は...北山が受けた仕打ちの壮絶さを物語っていて、まだ誰も居ない教室で俺は枯れた声を響かせた。
胸が苦しい。
ありきたりだけれど、本当に胸が苦しくて
張り裂けそうになる。
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机にしがみつき、額を付けながら必死に歯を食いしばった。
自分が情けない。
なんで助けてやれなかったんだ。
真っ白になるくらい握り締めた机の端。
メシメシと軋む机の音と、遠くから聞こえる人の声に
机に一度、拳をぶつけてから
俺は逃げるように教室を出た。
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逃げた先は、トイレ。
偶然なのかどうなのか。
フラフラとした足取りで辿り着いたそのトイレは
俺があの時、絶望を味わった場所だった。
洗面台に手を着いて、鏡を覗き込めば
唇から赤色を垂らした俺と目が合う。
今思えば、イスに着いていたあの赤色は
北山のものだったのか。と思った。
(無理矢理...された時の、痕...)
微かな流水の様な音が聞こえる空間でぽつんと立ち竦み、唇の赤色に触れる。
冷たいタイルの床に体温が奪われてしまったのか
色もなく震えるその手は、その赤色を掠め取るも
僅かにズレた、標準。
俺の口許は
赤色が滲んだ薄いピンクによって
彩られた。
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色のない、真っ青な俺の顔に
そのピンクが、やけに映えて見えた。
「.........ピンク。似合うじゃん、俺」
(似合ってたら、良いな...)
ポロッと口をついて出た言葉。
けれどその言葉とは裏腹に浮かんだ心の声。
両親の愛情を知らない俺が、人を愛することが出来るんだろうか。
美しいピンクの色を纏っても、許されるだろうか。
もう一度、今度はピンクになった口許に触れ
鏡に映るもう一人の俺を睨みつけた。
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そして、チャイムの音が全体を包み込み
俺は一歩踏み出した。
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「ピンクは俺の色だよ。な、北山」
俺は確かに許されない愛へ向かっているのだから
このピンクを自分のものにしてもいいだろ?
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俺が君の、ピンクに。
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じぇし(プロフ) - 君色。さん» 君色さんこんにちわ。ありがとうございます^_^更新は遅いかと思いますが、引き続きよろしくお願いします^^ (2018年1月13日 12時) (レス) id: 8a24218bb8 (このIDを非表示/違反報告)
君色。 - すっごく面白いです!これから二人がどうなっていくか、見所ですね! (2017年12月28日 12時) (レス) id: 51a53eab2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:じぇし | 作成日時:2017年12月9日 21時