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64…F ページ15

「北山...」







あの後、北山は意識を失った。
下校時間も過ぎていた為、俺は北山を連れ学校を後にすることにした。


昼間、突然降った大雨は止んでいたけれど
空は未だ厚い雲が覆っていて

だけど遠くの、紫がかった空に見える月が
雲ごと街を照らしていた。




本当の姿を見せないまでも、人々を優しい光で照らすソレは、北山そのものだった。







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だけど、姫抱きにした北山と俺を優しく照らす光は薄暗い雲によって少し、陰りをも見せていた。








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(全部知りたい...
 全部知って、キミを守りたいんだ...)








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嫌われても構わない。
意識のない北山に、今度こそ行動に移す時が来たと確信し

自宅へと急いだ。







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「ただいま」





誰も居ない家に、そう言った。

とりあえずは、と北山を寝室のベッドにそっと寝かし冷蔵庫から水とタオルをベッドのサイドテーブルに置いた。



リビングの電気をつけて、コップ1杯分の水を一気飲みする。


いつも独りにされて、恨めしかったこの空間が皮肉にも今の自分にとっては都合が良くて

乾いた笑いが止まらなかった。









.








俺の両親は、母親がトップデザイナー。
父親がトリリンガルの敏腕営業マンだった。

両親は二人で一人。
まさに二人三脚で世界を旅し、色んなジュエリーを生み出している。



元々が割に合わなかったのか
母体は両親の二人だけ、という身軽な会社で

店を構えて商売をするのではなく
百貨店などに売り込みをするカタチをとっていた。





母親のデザインを気に入った日本の職人が
一つ一つ手作りをした少数生産のジュエリーは

瞬く間に反響を呼び、元々家に居ない事が多かった両親は



全く帰ってこなくなった。






一人息子である俺より...両親は戸惑いなく仕事をとったんだ。


お手伝さんを雇うと言い出したけれど、俺は断り一人で生活するようになった。

おかけで家事はお得意のものだ。









.








親の愛情がだんだんと自分から冷めていく感覚を覚えたこの空間に

俺が愛情を傾ける北山が居て、そんな自分と二人きり。
それが、どこか滑稽だった。

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じぇし(プロフ) - 君色。さん» 君色さんこんにちわ。ありがとうございます^_^更新は遅いかと思いますが、引き続きよろしくお願いします^^ (2018年1月13日 12時) (レス) id: 8a24218bb8 (このIDを非表示/違反報告)
君色。 - すっごく面白いです!これから二人がどうなっていくか、見所ですね! (2017年12月28日 12時) (レス) id: 51a53eab2a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:じぇし | 作成日時:2017年12月9日 21時

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