17 side:Ryuto ページ17
なぜ仲良くなったのか──。
正直思い出せないが、
部署も違い、仕事で関わったこともないがゆえ良き相談相手であることは間違いない。
最近は互いに忙しく喋る機会がなかったが、今朝偶然出社の際一緒になり、久々に昼飯でもどうかとなったのであった。
夏仕様のシャツ1枚では寒いほど冷房の効いたここで、
ポロシャツ姿の�盒兇気鵑論茲曚匹�らくしゃみを繰り返す。
「なんかさー、最近俺ら真面目すぎね？」
『いいじゃないすか、仕事なんだから』
「昔はさ、色々…楽しかったよな」
『まあ、そういう時期もありましたね』
持ち前のノリですぐあの環境に溶け込んだ�盒兇気鵑蓮�言わばトラブルメーカーで、とにかくたくさん話のネタを持っていた。それはいつか語るとして。
「そういや橋本って最近どうなの？ここのところあんまあそこ行けてなくてさ」
夏といえば…って季語のような存在ではないが、こう暑いと不思議と思い出すのは橋本さんのことみたいだ。
『いやあ、普通──？ですよ、普通』
「フツーってなんだよ。なんかないの？ほら、新しい恋の予感とかさ」
『ああ、一人いますよ。バイトの子で良い感じの子が』
「へえ」
『ただ、かなり年下なんですよね〜。それが難点というか』
「げっ、まさかJK！？」
『大学生です。あの子は確実に橋本さんに惚れてるんですけどね』
「JDか…まあたしかに、アイツ若い女の子より色っぽいお姉さんのがタイプだもんな」
『…その言い方、なんか俺が気まずいんでやめてもらえます？』
「あそっか」
──この人、確実に忘れてる。
あんなに意気揚々と「高級！高級焼肉だかんな！？」と唱えていたのに。
ま、いっか。
「あ、お茶なくなってんじゃん。取ってきてくんね？俺の分も」
『はいはい』
全くこの人は調子良いんだから。
サーバーの前、ボタンを押して注ぎ終わるのを待っていると、ブーッとスマホが振動する。
瑞稀さんからだ。
"お前、店長の焼肉奢りの件忘れてないよな？"
"覚えてますよ" と送ってから、
"俺はね" と付け足す。
呑気に窓の外を眺める�盒兇気鵑稜愧罎鮓�つめながら、
この人が橋本さんに少なからず与えた影響について思惟した。
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作者名：きたほ | 作成日時：2021年2月4日 17時
