サマーバケーション (ページ9)

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アラームが鳴り出す。

といってもこれは目覚ましのためではなくて、
家を出る時間を示すもの。

なんで準備って時間内に終わらないんだろう。
早くに起きて余裕をもっていても、どうしても終わらない。

とにかく家をでなきゃ。
遅刻するわけにはいかない。

最後に一回だけ前髪にアイロンを通して、
駆け足で玄関を後にした。

毎月29日が定休日なのは、
肉の日だからという、なんとも店長らしい理由だった。

待ち合わせは13時。

本当は4限だけ講義があったけど、今日はずる休み。

平日の昼間。
駅も電車も空いていて快適だ。

乗り換えで立ち止まったホームで、ふと足元を見る。
ワンピースもサンダルも、これでよかったのかな。

いわゆるデートに着ていく服なんて持っていない。
このコーデが、現状私にできる最大限のオシャレだった。

理由もなくスマホを開く。

店長からメッセージは来ていない。

日付も時間も、間違ってないかな。

っていうかそもそも、本当に来てくれるのかな。

いや、店長に限って約束を破るなんてことはないだろうけど。

落ち着かない心の内。

待ち合わせまで、あと15分。