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わらわらと生徒が集まってくる。笑い声があちこちで聞こえる。全校集会の開始時間はとうに過ぎているが、これはいつものこと。
あれから二週間。今日は講座の日だ。私たちは30分ほど前に集合し、舞台裏で待機していた。
「委員長!三島先輩来てないっぽいです」
1年の女の子が声をかけてくれる。2年の三島くんは手洗い予防のメカニズムについて話をする予定だった。
あいつ確信犯っすよ、と同級生からタレコミが入る。どうやら全校生徒の前で発表なんて嫌だと先週から言っていたらしい。
『はぁ、休むなら休むで事前に言ってくれれば…』
この状況で代わりを名乗り出る子はいないだろう。私がやるのか、とため息をついたその時。
「俺やりますよ。昨日頼まれたんです、代わりにお願いって」
体育館の舞台袖で焦る私たちの前に、矢花くんは現れた。
原稿を手渡しながら、三島くんに見せてもらったりは、と訊く。
「いえ」
初めて読むらしい。
焦る素振りもみせず、一定の速さで目を動かしている。
「俺は…、委員長の後に出ればいいんすね、わかりました」
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作者名:きたほ | 作成日時:2020年8月18日 2時