検索窓
今日:13 hit、昨日:0 hit、合計:3,807 hit

. ページ24

それからデザートまではあっという間だった。
お礼というのは、このお気に入りの隠れ家的レストランでご馳走してくれるってことだったんだろうか。
『美味しかった』
「うん」
すると。店内に流れていた洋楽が止まる。

「ご馳走したいっていうのももちろんあったんだけど、あの」

「ピアノを、披露します」

そう言って、矢花くんは店の隅にあったピアノへ向かった。暗めの照明に紛れて気づかなかった。ここはそういう演奏ができる場所なんだ。


軽やかな音。

生のピアノの音、久しぶりに聴いた。
丁寧なタッチとどこか懐かしいメロディー。


音色に聴き入っているうちに、気づけば1曲が終わっていた。
他の数人のお客さんからも温かな拍手。そのなかで一礼すると、照れた表情で戻ってきた。

「練習の成果、どうしてもAさんに聴かせたくて」

すごかった。心に沁みた。浮かぶどんな言葉も、気持ちをそのままには表してくれなくて、ただ頷いた。

11→←.



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.2/10 (11 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
12人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:きたほ | 作成日時:2020年8月18日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。