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ある日の事や。


「北先輩っ!」


Aが2年の階にやって来た。


Aは下を向きながらカタカタと体を震わせていた。

緊張しとんのか?


「なしたん?」


「い、IHの調子はどうですか?」


「相変わらず双子が絶好調やで。」


「そーですか。」


Aは顔を顰めながら黙った。

何の詮索しとんのや。


「……変に探りしとらんと、はよ本題に入れや。」


Aは深呼吸をし、ゆっくりと口を開いた。


「……今日、練習観に行ってええですか。」


「どんな風の吹き回しやねん」


バレーボールをそこまで好んどらんAが練習観に行くなんて、、、双子に言われたとかか?


「あ、覚えてますか、約束。」


ちょっと前に交わした約束、俺は覚えている。

俺とAだけにできたものだから

特別だったから

覚えとる。


「覚えとったけどAは忘れてるかと思うたわ。」


「え、そんな風に見えます?」


「おん

Aって案外ドジやし……なァ?」


「何が、なァ?ですよ

北先輩のいけずっ!」


「ははっ

それにしてもA明るくなったなぁ」


「ふふっ……私も思いますよ

全部のきっかけは侑くんですよ

保健室で出会っていたなかったら
私は今頃死んでいてもおかしくありません。」


……確かにな。

保健室で侑とAと出会わんかったらAは死んどったかもしれへん。

俺の心も掻き乱されなかった。


「それと、北先輩や治くんにスナ、銀島くんが私を助けてくれたから、私はここまで来れました

ありがとうございます。」


急に改まって、お礼をされた。

……俺は助けとらんよ。

「……バレーはもうしません。」

いつかに言っていた言葉

あの時何で頼ってくれへんかった?と思うばかりで、俺の意地が邪魔をしてAの話を聞けへんかった。

自分の事しか考えられなかった。

俺は最低なヤツなんや。


「俺は……なんも出来てへんよ。」


「……なんで、また、悲しそうな顔をするんですか?」


また、悲しい顔をしとったん?

なんでって、Aが俺の心を掻き乱すからやん。


「……まだ、Aは知らんくてええよ。」


「…いえ、知りたいです

私を助けてくれた北先輩だからこそ、知りたいし、知った上で助けたいでひす。

……私に恩返しさせてくださいよ。」


「……ふはっ

Aの恩返しかぁ…。

……いつか、な?」


いつか

今はまだ、アカン。


「……いつでも言ってくださいね?」


「おん

あ、あと今日練習観に来たってや

待っとるよ。」


俺はAに手を振りながら教室へ戻った。

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クラウンメロンパン - ちなりさん» そう言って貰えるのはめちゃくちゃ嬉しいです!(泣)ありがとうございます! (2020年5月31日 1時) (レス) id: 6658eed2dd (このIDを非表示/違反報告)
ちなり - 95話最高でした! 更新これからも頑張ってください! (2020年5月30日 15時) (レス) id: 1cbc15e1f0 (このIDを非表示/違反報告)
クラウンメロンパン - ちなりさん» オチアンケはクラウンメロンパンから出てきます!赤木さんを是非参考にさせてもらいます!閲覧ありがとうございます! (2020年5月24日 23時) (レス) id: 6658eed2dd (このIDを非表示/違反報告)
ちなり - オチってありますか? あるのだったら赤木さんお願いします! (2020年5月24日 21時) (レス) id: 1cbc15e1f0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:クラウンメロンパン | 作成日時:2020年5月10日 2時

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