269話 ページ34
·
扉が閉じられたのを確認した直後、頭を抱えた。
ダラダラと嫌な汗が垂れる。
ああ、なんてことだ。
折角お父さんが隠してくれていたのに、バレてしまうだなんて。
しかもこの状況で暴露されてしまったら……
「お父さん……」
会社、大丈夫かな。
スマホを手に取り、電源を入れる。
両親から大量のメールや不在着信がきていた。
震える指で画面をタップし、お母さんに電話をかけた。
お父さんは仕事があるだろうと思ってのことだ。
数回コール音がした後、声が聞こえる。それは酷く焦っていた。
《A！大丈夫なの！？
そっちで一体何があったの！？》
「私の過去が知られちゃった……
お父さんの会社に迷惑がかかるかもしれない……
本当に、ごめんなさい……」
《会社への迷惑なんて今はどうでもいいの！
身体は大丈夫なの！？また怪我したの！？》
「今、病院にいる。
五体満足だけど、まだ傷が痛い」
よかった……と泣きそうな声で言うお母さん。
こんな時なのに私の心配をしてくれるなんて。
どうやら、お父さんは緊急の記者会見を開いてるらしい。
私の過去については認め、それを隠蔽したことも話すつもりだそう。
家族に迷惑をかけたくないと思っていたのに。
何もかもが上手くいかなくて嫌になってしまう。
ノックが聞こえた。
それに応えると、扉を開けて看護師さんが入ってきた。
切島くんたちが呼んでくれたらしい。
お母さんにそれを伝え、電話を切った。
■
検診ではどんな怪我だったのかとか、今後どう気をつければいいかなどを細かく伝えられた。
病院に運ばれた時点で私の容態はかなり悪かったらしく、「この状態でよく戦えたね」と感心されてしまった。
ここセントラル病院では最先端最高峰の治療を受けられるため、数日もすれば退院できるらしい。
「傷に響くから、あんまり動かないようにね」
「……はい」
診察室を出て、点滴台を引きながらゆっくりと歩く。
足が重い。鉛でも付けられてる気分だ。
「……みんな、大丈夫かな」
安静にするよう言われたが、この位なら大丈夫だろう。
きっと私より皆の方が怪我が酷い。
だから目覚めるのも遅いんだ。
病室の横のプレートを流し見しながら皆の部屋を探す。
最初に訪れたのはミルコの所だった。
静かに扉を開く。
そこには沢山の機械に囲まれたベッドの上で眠る彼女がいた。
その左腕は途中で消えている。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1886人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
yukimi(プロフ) - 最高すぎます！何気に相澤先生の絡みが大好きです！！ (2023年3月30日 2時) (
レス) @page38 id: a25b1c0c0d (このIDを非表示/違反報告)
あああああ - 追記:↓続編とかでやってくれませんか！ (2023年3月8日 13時) (レス) id: 7d0fba99d3 (このIDを非表示/違反報告)
あああああ - すみません。途中からでも良いので、夢主を闇堕ちしてください！ (2023年3月7日 22時) (レス) @page19 id: 7d0fba99d3 (このIDを非表示/違反報告)
黒弧(プロフ) - ミルコとの絡みも見てみたいなー←なんて← (2022年9月16日 3時) (レス) @page7 id: 4b13e88e37 (このIDを非表示/違反報告)
とろろ1565(プロフ) - 面白くてもう一から一気見しちゃいました！！！好きです！ (2022年5月22日 19時) (レス) @page7 id: 6849bf532f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ひとや | 作成日時：2021年8月31日 22時
