93話 ページ46
･
期末テストの翌日、切島くんを始めとした不合格者たちのテンションは葬式かってくらい低かった。
芦戸さんに至っては泣いちゃってる。
背中に手を回してポンポンと優しく叩くと、私の名前を呼びながら更に泣いた。え……？
相澤先生はそんなこと気にする素振りもなく、扉を勢いよく開ける。
元気ですね、先生。
こっちは通夜みたいなノリの人が数名いるんですけど、こういう時の対処法知ってます？
「今回の期末テストだが、残念ながら赤点が出た。
したがって……
林間合宿は全員行きます」
その時の不合格組の顔といったら。喜びに満ちていた。
よかったね。
「筆記の方はゼロ。
実技で切島・上鳴・芦戸・砂藤。あと瀬呂が赤点だ」
「うわぁ、瀬呂くんやっちゃったね」
「こういう時だけ傷抉ってくるのやめて」
「それはごめん」
ドンマイ。
芦戸さんの時みたく背中をさする。
傷口に塩を塗るようなマネしちゃった。
そんなつもりは無かったんだけどな。
相澤先生が言うには、今回の試験は生徒に勝ち筋を残しつつ、どう課題と向き合うかを見るよう動いていたらしい。
そういえば私の課題ってなんだったんだろう。結局分からず終いだったんだよな。
「本気で叩き潰すと仰っていたのは……」
「追い込む為さ。
そもそも林間合宿は強化合宿だ。赤点取った奴こそ、ここで力をつけてもらわなきゃならん。」
合理的虚偽ってやつさ。
個性把握テストの時みたく、乾いた笑みを浮かべていた。
出たよ、合理的虚偽。先生好きだよねそれ。
しかし赤点は赤点。
不合格組には別で補習時間を設けているらしい。
しかも学校に残っての補習よりもキツイとのこと。
あーらら。
■
「何はともあれ、全員で行けて良かったね」
尾白くんの言葉にうんうんと頷く。
彼はA組の中では常識人なので安心して話せる。
いやぁ、持つべきものは普通の友人だね。
「一週間の強化合宿か！」
「結構な大荷物になるね」
「水着とか持ってねーや。色々買わねぇとなあ」
水着ってことは泳げるのかな。
“個性”に反して水泳が好きなので楽しみだ。
まだ数週間はあるのに私の心は既にワクワクしている。
その時、葉隠さんが「あ！」と手を叩いた。
透明だから叩く動作は見えないけど。
「明日休みだし、テスト明けだし……ってことで、
A組みんなで買い物行こうよ！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 810人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
花鳥風月 - みんなかっこよすぎでしょ！？かっこよさが罪！ (2021年5月13日 7時) (
レス) id: 807eb68517 (このIDを非表示/違反報告)
みーたん！ - いやぁぁぁぁ！荼毘さんっっっ！カッコいい！←完全に頭おかしい奴 (2021年5月9日 14時) (レス) id: 4e876a97b1 (このIDを非表示/違反報告)
カナ(プロフ) - みーたん！さん» それなです...推しが尊い... (2021年5月7日 23時) (レス) id: 115331bfc2 (このIDを非表示/違反報告)
みーたん！ - 夢主ちゃんと上鳴くんの絡み、、！よき^ - ^ (2021年5月4日 16時) (レス) id: 4e876a97b1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ひとや | 作成日時：2021年5月3日 23時
