67話 ページ20
･
「はっ……！？」
やっといけると思ったのに。
下にいるヒーローたちも戸惑いの声を上げた。
「おい！なんで脳無落ちてこねぇんだ！？」
「ちょっと待て……
脳無が窓枠に腕引っ掛けてる！！それで落ちんのを防いでんだ！！」
「はぁ！？」
ヤバい、早くしないと……！！
焦りが募る。
まだ攻撃を止めちゃいけない。
自分の身よりもアイツを落とすことを最優先にしろ！！
少しずつ脳無との距離を詰めていく。
零距離で最大火力を浴びせれば、少しは怯んでくれるはず……！！
もう手の感覚が無い。
さっさと片付けないと使い物にならなくなる！！
「うらあああ！！！」
走って一気に距離を詰めた。
脳天狙ってぶち込め。どうせ死にやしない。
「カ"ア"ッ"！！！」
「いい加減諦めろ！！！」
その時、黄色い炎が白くなった。
突然のことに攻撃を止めそうになるが、ハッとして炎を放ち続けた。
手は痛いけど、さっきよりも痛くない。
なんかジブリの映画でこんなのあったよね。
「夢だけど、夢じゃなぁい！！」ってやつ。
まあ状況が全く違うんだけどさ。
この痛みの引きは、手がやられたのか最大火力に慣れたのか。
どっちかは分からないけど、今はそんなのどうでもいい。
「ブッ飛べ！！！！」
一瞬だけ攻撃を止め、力を溜めた。そしてそれを一気に放出する。
勢いにやられ、脳無は見事なまでに飛んでいった。
ついでに窓枠もバキバキって折りながら。
金属の棒を持ちながら落ちる姿がなんだか可笑しくて笑ってしまった。
そして一言。
「ざまぁ」
鼻で笑ってエレベーターの方へ走った。
脳無がドアをこじ開けようとしたため、一人分くらいの隙間が開いている。
あの時攻撃していなかったらと思うとゾッとした。
あと少し遅れてたら中の人は殺されていたかもしれない。
間に合って本当に良かった。
「大丈夫ですか？」
「はい！！
……あなたこそ、大丈夫ですか？」
中にいたのは意外にも中学生だった。
大人っぽい声してたから、てっきり高校生か大学生かと……
その子は私の腕に付けられた傷を指す。
色々ありすぎて忘れていた。
「大丈夫だよ。こっちおいで」
「はい！」
慎重に歩く彼女の手を引いて抱きしめる。
直後、エレベーターがガコンと音を立てて落下した。
それを見て、胸に抱いた彼女と暫く顔を見合わせる。
そして奇跡とも言えるこの展開に二人して笑ってしまった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 810人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
花鳥風月 - みんなかっこよすぎでしょ！？かっこよさが罪！ (2021年5月13日 7時) (
レス) id: 807eb68517 (このIDを非表示/違反報告)
みーたん！ - いやぁぁぁぁ！荼毘さんっっっ！カッコいい！←完全に頭おかしい奴 (2021年5月9日 14時) (レス) id: 4e876a97b1 (このIDを非表示/違反報告)
カナ(プロフ) - みーたん！さん» それなです...推しが尊い... (2021年5月7日 23時) (レス) id: 115331bfc2 (このIDを非表示/違反報告)
みーたん！ - 夢主ちゃんと上鳴くんの絡み、、！よき^ - ^ (2021年5月4日 16時) (レス) id: 4e876a97b1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ひとや | 作成日時：2021年5月3日 23時
