Flame in gold (ページ9)

今日:8 hit、昨日:4 hit、合計:37,301 hit

9 ページ9

*

ひろとダラダラと関係を続けているうちに

季節も冬から春に

私は無事に単位も取れて

大学3年生になった

ひろの表情や仕草

甘い声

この人に何人が

惑わされて騙されているのか知らないけど

私の"好き"は

どんどん加速していく

私に覆い被さるひろの首元で

揺れるクロスのネックレス

手を伸ばし触れると

ふっ、と余裕の表情でひろは笑った

人たらしで

人の心の中には

いつの間にか、すっと入ってくるのに

自分の心の中は

決して見せてくれなくて

掴み所がない

だからこそ本当のひろに触れたくて

つい、追いかけてしまって

触れようと手を伸ばしてしまって

だけど、何も掴めなくて

ただ、どんどん溺れていく

苦しくなる

「好きだよ」

って言葉にしてみるけど

いつも適当に流されるから

「ねぇ、ひろは？」

なんて聞いてしまった

煙草の火を消して振り返ったひろ

「俺も好きだよ」

そう言葉が返ってきた

ひろは笑っているのに

なぜか色のない言葉

嬉しいはずなのに

ひどく傷つく

私の気持ちとひろの気持ちは

ずいぶん温度が違うと

再確認しただけだった

*