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F*
エントランスを出て
マンションを見上げた
Aの部屋は夜景の綺麗な高層階
大学生の一人暮らしには少し広すぎる1LDK
いつ行っても
生活感のない殺風景な部屋だ
俺が寝転がっても余裕のあるソファー
大画面のテレビ
ふかふかのダブルベッド
大きな窓から見える東京の景色
ほとんど使われていない広いキッチン
初めて部屋に行った日
「すごい部屋だな」
と言った俺に
「うちの親、お金なら出してくれるから」
と言ったAは
ひとつも嬉しそうではなかった
Aの両親は共働きだった
いつも海外を飛び回っているお父さんと
好きな仕事を楽しそうにしていたお母さん
一人っ子のAが
俺の家で過ごすこともよくあった
Aの両親は優しかったし
仲も良くて
忙しい中
家族ぐるみでの付き合いもあった
Aは寂しい思いもしたかもしれないけど
大切に大切に、
愛情をたっぷり注がれていたように思う
*
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作者名：ゆう | 作成日時：2019年1月18日 19時
