育成記録

連れてきました。Ki ページ10

北「はよーっす」
み「よーっす」

楽屋に一番のりして、皆が揃ったらひろみちゅを紹介しようと思ってたのに、すでに藤ヶ谷が来てた。

ドアを開けたとき、藤ヶ谷の近くで何かが動いたように見えたんだけど…気のせいか？

挨拶を返してきた藤ヶ谷に、一人かって確認したら、曖昧な返事。

思わず、どっちだよってツッコミ入れちゃったよ。

鞄を置いて台本を取り出そうとしたけど、もそもそとフードの中で動くひろみちゅ。

先に出してやった方がいいかな。

ソファの前にしゃがんでやると、がんばって這い上がってるのか、すげぇフードが揺れてる(笑)

藤「何してんの？」

北「んー？ちょっと待って……。出れたか？」

み「んしょっ、出れた！」

藤「………なに？」

藤ヶ谷が眉間にシワ寄せてめっちゃ怪しんでる。

そりゃそうか。

他の奴ら来てないけどいっか。

北「藤ヶ谷には先に紹介しとこうかな」

ひろみちゅが見えるように横にずれてやる。

藤「北山、それ…｣

ソファに立つひろみちゅを見て呆然としてる藤ヶ谷に、新しい家族だと紹介する。

み「よろしくなっ♪」

ブイサインをビシッと決めて、カッコつけてるけど、可愛いだけだぞ。

ひろみちゅを藤ヶ谷に近づけようと、テーブルに移動させる。

けど、そこにいる小さい存在に今度は俺が固まった。

み「ん〜？だぁれ？」

ひろみちゅも気づいたみたいで、首をかしげて見つめてる。

藤ヶ谷の服の袖を小さな手で握って、ビックリした顔をしてるのは、どう見てもひろみちゅと同じ…。

北「藤ヶ谷……その子…」

藤「あ、えっと、俺の…新しい家族…」

北「え！？藤ヶ谷もっ？」

藤「ああ…」

お互いに、本人とテーブルの上のチビ達へ視線がいったりきたり。

不思議な沈黙が、楽屋を包み込んだ。
　

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