育成記録

じめじめでした。Ｙ ページ44

藤「う"〜〜…」

先輩企画のドッキリ放送から数日後、全員が集まった楽屋では、太輔が小さく唸っていた。

理由は簡単。

ヤラセの意味をわかってないたいしゅけが、ホームランを打ったていで喜んでる太輔を見て、ホントに打ったと信じてるからだ。

今も遊びながらニカにすごいね〜♪て無邪気に笑ってる。

相手してるニカの笑顔は微妙に引きつってるけど。

ひろみちゅは何かを言おうとしてミツに捕獲された。

横「そんな唸るならホントのこと言えばいいのに」

藤「そうだけど…」

たいしゅけを騙してるみたいだと罪悪感にうだうだ悩んでるくせに、なぜか事実を言おうとしない太輔。

横「何をそんなに迷ってんの？」

藤「………ｶﾞｯｶﾘｻｾﾀｸﾅｲ」

蚊の羽音みたいにか細い声で呟いた言葉に、向ける視線が冷たくなる。

横「かっこつけてる場合か」

藤「んなこと言うけどさぁ…。うあ〜、心がズキズキする…」

本人至って真面目に悩んでるんだろうし、いつになく優柔不断なのも珍しいもの見たなとは思うけど、この時期に室内でもじめじめされるのは正直鬱陶しい。

これはもう、さっさと諦めてもらおうかな。

ニカとミツからおチビさんを引き取って、耳打ちした後、揃って太輔の前に下ろした。

藤「？」

横「せーの」

た.み「カバーダンテッヤニーナ！」

藤「っ！？」

横「もーいっかい」

た.み「カバーダンテッヤニーナ！！」

藤「ちょ」

横「あ、そーれ！」

た.み「カバーダンテッヤニーナ！！！」

横「もいっちょ！」

た.み「カバーダンテッヤニーナ！！！！」

横「もひと…
藤「わかった！わかったからっ！話すから！」

よし。

藤「あの……、しゅけ、ごめん」

た「んう？なにが？」

項垂れて謝った太輔だけど、何に謝られてるのかわからないたいしゅけは、こてんと首をかしげる。

そりゃそうだ。

実はね、て話始めたからみちゅを抱っこして太輔から離れる。

ミツからは荒療治だねって苦笑されたけど、辛気臭いのが長引くよりいいだろって言ったら納得してた。





た「わたぅー！」

話が終わったのか、たいしゅけに呼ばれて近寄ると、やけに嬉しそうな顔をしてる。

横「どした？」

た「こんどね、たいがホームランうってくれるの♪」

なるほど、実際に打って見せることで何とかフォローしたってことか。

横「そっかー、良かったなぁ」

た「うん♪」


よし、これで余計にじめじめするのは回避できた。



二千宮玉(とか思ってそうだなぁ…。)

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