キスと約束 (ページ16)

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16話ページ16

Aのお母さんが死んだ。

慌てふためいた莉奈からの電話だった。

最初に聞いた時、俺は凍りついた。

A、確かお父さんがおらんくて、お母さんとふたり暮らしやった気が…！

いてもたってもいられなくなった俺は、すぐさまAに電話をかけた。

お願い、出て…！

俺が…俺が、Aを守る。

Aを助けてあげたい…！

廉「もしもし。大吾？」

大「え、廉…？」

そんな俺の思いとは裏腹に、電話に出たのは廉やった。

廉「せやけど。…お母さんのこと…？」

大「おん…。」

廉「…そっか、聞いたか。…でも、A今、ちょっと大変やねん。泣きじゃくって、眠いはずなんに寝れんくて。ずっと布団にくるまってて…。Aと話すんは、無理やと思う。」

話の内容から、Aが廉の家にいるか、廉がAの家にいるか、どっちかなんやって分かった。

どっちにしろ、電話出たんが廉やから、一緒におるんは間違いないけど。

大「そっか。…Aのこと、頼むな。」

弱い俺は、こう言うしかなかった。

廉「おん。じゃーな。」

電話が切られたあとも、しばらくボーっとしてた。

やっぱ、廉には勝たれへんのかな。

俺がいくら好きでも、その好きは廉を越せない。

廉は、俺が思ってる以上にAが好きやから。

大「…諦めが肝心ってか…。」

誰に言うでもなく、告白もせず、ただただ静かに、俺の初恋は終わった。