【d!】紫煙に口づけ【shp】 (ページ4)

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好奇心は猫をも殺すページ4

カーテンの隙間から僅かに差し込む朝日に心地よい眠りを邪魔されゆっくりと目を開ける。

2、3度瞬きをしてからぐっと伸びをした。

ちらりと横に目線を逸らせばどうやら同居人はまだ夢の中で楽しくやっているらしい。布団の中に猫のように丸まって顔の見えない同居人を起こすべく身体の辺りに乗り、にゃあとひと鳴きした。

そうすれば塊がもぞりと動いたためぴょんっと空いたスペースに飛び移ったが一瞬動いただけでまた夢の世界に旅立ってしまったようだ。

全く困った同居人である。どうしたものかと思い時計を見やれば長針が8、短針が6を指していたが本日は土曜日。まだ起きる必要が無いといえばないのだが、私はお腹がすいてしまった。

それはもうこの同居人が起きなければならない理由に十分なりうるだろう。

もう一度にゃあと鳴けどやはり起きず、仕方なしに布団に潜り込んで肺いっぱいに空気を吸い込み耳元で大きく鳴いた。うっとおしそうにさらに小さく丸まった同居人の顔あたりをてしてしと殴ればようやく起きる気になったのかゆっくりと起き上がる。

陽の光を浴びて輝く茶色は所々ぴょこぴょこと跳ねており、いつも気だるげな瞳は殆ど姿を見せてはいなかった。大きな欠伸をひとつしてまたパタリとベッドの上に倒れてしまいそうな同居人。そうはさせるかとすかさず膝の上に飛び乗った。

「にゃあ。」
「ん……あー、わかった、わかった…。」

寝起きの掠れた声でそう言った後同居人はベッドから降り、リビングの方へと歩いていく。

その背を見ていつの時代でも、いくつになっても朝が弱いのは変わらないものだなと思った。

いつもと変わらぬこの朝を幾度も繰り返したことを彼は覚えていなくても私だけがずっと覚えている。