#本に埋もれて ページ13
．
「 …Aさん、また埋まってますね。 」
とある国の潜入捜査の為の
下調べをと
本がたくさんある
エーミールの部屋に来ていたのだが
気づけば辺り一面本でいっぱい
体の半分以上が本に埋まっていた。
『 エミさ〜〜ん、助けてw 』
em「 見ていて飽きませんね。こうなることは、わかっていましたけど。 」
そう言いながらも
難なく引き上げてくれた。
『 やっぱだめだね、本読むと周りなんも見えんくなるわ。 』
em「 それだけ夢中になっているということでしょう。 」
『 はは、なんも情報得られへんかったけどね。 』
そう言いながら
置いてある本を拾いあげ
本棚へ戻していく。
em「 どこの国を調べていたんですか？ 」
『 α国なんやけど、明日から潜入すんねん。 』
em「 ああ、最近隣国のβ国と冷戦状態だとか噂の。 」
『 せや。その原因を探る。もし潜伏中に戦争が始まったら…私は生きて帰られるかな。 』
em「 Aさんに限って、有り得ない出来事ですね。任務失敗で死亡、なんて。 」
『 エミさん私をなんやと思ってるん？ 』
em「 AさんはAさんですから。 」
『 答えになってへんのよなー。まあ、大丈夫やろ。もし万が一はα、β諸共消してくる。 』
em「 そう言うと思ってましたよ。 」
口では簡単だが
おそらく、
成功しようが失敗しようが
一ヶ月は帰ってこれないだろう。
それに今回は一人任務。
頼れるのは
自分自身と
インカムから聞こえる仲間の声だけ。
em「 不安ですか？ 」
『 え…？ 』
em「 顔に書いてあります。 」
『 はは、どうかな。 』
em「 Aさん、手を出してください。 」
『 え？手？ 』
戸惑いながらも
言われた通り手を出す。
するとどこからともなく
青い糸を私の手首に巻きつけ結んだ。
『 何してるん？ 』
em「 物は試しです。おまじないを少し。 」
“ Aさんの不安がなくなりますように。 ”
そう言って余った糸を切ったエミさん。
em「 この糸、明日の朝解いて破棄してください。きっと一緒に不安も持って行ってくれますよ。 」
『 …エミさん、おまじないとかするんや。 』
em「 何かの本で見ました。効くかはわかりませんが。 」
『 …ありがとう。 』
明日から頑張れそうやわ。
．
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作者名：＊＊＊
| 作成日時：2019年8月5日 0時
