私の日常【wrwrd!】 (ページ12)

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#褐色の彗星２ページ12

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『ねえ～、グルさんどこ行くん？？』

抜け道を出たところで

やっと降ろしてもらえた。

なんでも

城から脱走して

よく城下町に来るらしい。

ただでさえ目立つこの男、

なにせ国の頂点に立つ男だ。

変装こそしてるが

怪しさが異常。

もはや総統というよりも

暗殺者のようだ。

gr「あそこの茶屋のケーキが美味いらしい。」

『ふーん、グルさん食べたことないんだ？』

gr「む。なんだ、あるのか？」

『あるで。少し前にマンちゃんと非番の日にね。』

gr「美味かったか？」

『グルさんは絶対に好き。』

gr「早く行くゾ！！』

『ちょ、引っ張らんといてよー、(此奴ほんまに総統なんやろか？) 』

腕をぐいぐいと引いて

茶屋へ急ぐ

グルッペン君５歳。

ほんま甘いもん好きやな。

私は別に好きでもなければ

嫌いでもない。

自分から食べようとは思わないが

あったら食べる、その程度。

だが目の前のこの人は違う。

城をこっそり抜け出してまで

甘いものを欲するタイプ。

グルッペンの甘味好きは有名で

他国の外交官は手土産で

ほとんどの人が甘いお菓子など

甘味の物を持ってくるほどだ。

『どれにするー？？』

gr「全部やな。」

『え？』

gr「店のケーキ全部だ。」

『いや、何言うてんの？？』

店員も困り顔だ。

奥にいるパティシエは

慌ただしく動いている。

『無理いっちゃあかんよ。一個にして。』

gr「だが、」

『トン氏にチクったろ。また脱走してるって。』

gr「む…二個。」

『まあ、二個ならええやろ。』

ガラスケースにへばりつくこの男、

本当に総統なんやろうか。

この数分後、

万一に備えて起動しておいたインカムから

トントンの声が聞こえてきて

帰ってから粛清を受けたのは

また後の話である。

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