希望の轍 (ページ3)

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きっかけページ3

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きっかけなんて大体小さなことから大きくなっていく。
気付いたのは些細な違和感。
「…あれ？」
いつも使っている楽屋。荷物の置場所なんて変わらない。なのに、定位置から少しだけズレてる。他の人は気付かないくらい微妙な違和感でしかない。
だからこそ自分が動かしたかな、ぐらいにしか感じなかった。

別日。
また、鞄が少しズレている。今回はそれだけじゃなかった。着ていたジャケットが違う場所に置かれていた。
「…ん？」
「どしたの、舘さん」
「照…。いや、何でもない」
声をかけてきたのは岩本照だった。違和感に気付く程表情が違っていたらしい。
涼太は大袈裟にするほどでもない、と判断し、他者に伝えることは控えた。
「そう？なんか舘さん眉間にシワよってたよ。何かあったら言ってくれたらいいからね」
照はそう言うと財布を持って楽屋を出た。

でも、一応…。と、涼太はマネージャーに尋ねた。
「へっ？楽屋ですか？」
「うん。美味しいお菓子があったから、収録中に置かれたのかなって…」
「楽屋は皆が出る場合は基本施錠します。だからそのお菓子は皆さんが楽屋入りする前に置かれたんじゃないですか？」
「あっ…そ、そうでしたっけ？全然気付かなかったわー」
「あはは。宮舘さんお疲れですか？スケジュール調整します？」
「いや、大丈夫です。ありがとうございます」
確定できないことにメンバーや周りの人を巻き込めない。一抹の不安を抱えて楽屋を後にした。

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